いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

安倍政権と経済学者。 political power and economist

2013-03-25 20:03:30 | 日記
 (1)日本銀行の副総裁に就任した元学習院大学教授の岩田規久男氏が、安倍政権が求める物価目標2%(上昇)を2年で達成実現できない場合には(責任をとって)辞任すると、自信なのか責任放棄なのか国会招致の委員質問に答えたのを受けて、麻生副総理・財務相は国会審議において「学者というのは実体経済を知らないものだと思った。物価目標2%達成などそう簡単には実現できない。」(趣旨)として学者批判と安倍政権のデフレ脱却への結果目標へ時間的猶予を持たせる環境整備への意図的とも思われる発言をしている。

 麻生副総理は元経営者でもあり、自らも財政通を自認して経済、財政、金融に精通した財務省(官僚)出身者の日銀起用を視野に、日銀新体制にも学者起用に反対の立場を示していた。

 (2)一方批判にさらされた学者、専門家からは、安倍政権の経済政策、日銀体制を推進するのが経済学界(economic academic circles)の主流ではない異端派と言われているリフレ(reflation)政策推進学者でもあるせいなのか、経済学者(economist)、専門家から安倍政権の外交、経済政策に厳しい意見、見方が出ている。

 ①「日中が挑発し合う流れを抑えたい米国と中国に対して対抗意識をあらわにする日本との日米同盟関係のズレ」、②「憲法改正、歴史問題の見直しも未来志向の戦略的感覚に支えられたものというより、怨恨の情から発する衝動に過ぎない」、③「通貨供給量を操作(reflation)してのインフレ、アベノミクスは中長期的には実体経済をかく乱する可能性が高い」(新聞特集要約)として「安倍政権下の外交も経済も先行きが全く不透明であることは間違いない」、「不安な時代に『怖いこと』をやっているという緊張感が感じられない」(同)と分析、批判している。

 (3)外交では、前民主党政権時代からの中国との尖閣諸島領有権問題を引き継いで、事態は双方最高レベルでの話し合いの重要性には認識を示しているが主張を譲る気配はなく、日本政府は実効支配する尖閣諸島の常駐化、日米軍事行動計画策定へと両国間の緊張をさらに高めている。

 国内経済では、安倍政権の物価目標2%達成によるデフレ脱却策、国債発行増による景気回復策への期待感から円安、株高市場を誘引しているが、その実体経済効果は別にして一時的には10年以上も続くデフレ脱却に向けての大胆で重点的な経済政策、景気回復策は必要であると考える。

 (4)問題はこれにより生じる未来社会への「ツケ」をいつ、どのような形で修正し、財政規律、健全化政策に転換し、実施するのかという決断だ。
 円安、株高市場景気の中で政府の要請に応じて企業の賃上げも続いているが、企業形態の大部分を占める中小企業には無縁で、震災社会の中でこれに消費税引き上げが控えており、景気回復感がどこまで浸透するのか、政府、日銀の対応、対策がかってのように大企業、経営者中心に特化すれば国民経済は「先行き全く不透明」なものとなるだろう。

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