いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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イスラエル訪問とパレスチナ初訪問の軌跡。 u.s. president visit to israel

2013-03-22 19:42:52 | 日記
 (1)米国にとって中東イスラエルは、アジアでの中国にとっての北朝鮮と同じ意味合いを持つ戦略国だ。イランというイスラム教条主義最大の宿敵国を抱えて石油資源を巡って中東地域に影響力を誇示したい米国にとっては、そののど元にある同じキリスト教国で自由主義陣営に位置するイスラエルは心強い味方であり、中東戦略の足掛かり、防波堤であり、イスラム諸国陣営に対するけん制的役割も担(にな)っている。

 ところが当のイスラエルは、隣接するパレスチナと領土を巡って終わりのない紛争をくり返して、パレスチナ領域を入植地支配しての紛争問題国でもある。
 イランの孤立化のために中東の安定を望む米国は、何度もイスラエルとパレスチナの和解(accommodation)、和平(peace)を進め、ホワイトハウスに両国、地域の指導者を招いて記者会見で握手までさせて和解、和平、停戦を演出してみせても、つかの間のこと、互いが国、地域に戻ればもとのもくあみですぐに停戦破棄による紛争を再開するという歴史のくり返しが続く。

 (2)キリスト生誕の地をともに領土として主張し合い、引くに引けない歴史的対立、宿命の中でのパレスチナ問題だ。
 国連もようやくパレスチナをオブザーバー国家(general assembly observer state)として認めて、イスラエルとの同等、同格の交渉能力、和解、和平の環境整備をつくりだしているが、イスラエルはこれを無視してパレスチナへの入植地政策を継続したままだ。

 米国にとっては入植地を解消してイスラエルとパレスチナが共存(coexistense)できて、この地域が安定することが中東政策の戦略ポイントであるが、近年のイスラエルはパレスチナのオブザーバー国家承認とあわせてこの米国の目論見に反発して、両国関係は好意的とはいえない。核実験を巡っての反対表明の中国と強行した北朝鮮の反目関係と似ている。

 (3)オバマ大統領は今イスラエルを訪問(u.s. president visit to israel)して、初めてパレスチナ自治区を訪れてパレスチナ代表とも会談をして両国、地域の関係改善に意欲、努力を示しているが、イスラエルのイラン核疑惑によるあらたな対決姿勢問題も抱えて、米国外交とは距離感が深まり中東和平の確固としたシナリオを持ち得ない現実だけが表面化した。

 イランを基軸とした中東紛争が起きれば、中東地域に原油依存する日本も大きな打撃を受けることになる。中東、アフリカでは長引く紛争でイスラム過激派(テロ集団)の台頭も伝えられて、歴史の時間が戻されていくかのようだ。

 (4)中東、アフリカの安定が世界の政治、経済、社会の安定の重要ポイントであるが、また各国世界制覇の思惑がからんでのアフリカ投資対象ともなっており、解決策は容易ではない。
 今回のオバマ大統領のイスラエル、パレスチナ訪問も、地元では「オバマの不思議な訪問」(地元紙報道)といわれており、オバマ大統領には和平提案もなく(後ろ盾として言うべきことは言っていると思うが)米国とイスラエルとの認識のズレ解消または圧力のための「まずは聞くための時間を持ちたい」(記者会見報道)ことのための訪問だ。

 (5)こちらの問題も尖閣諸島領有権問題と同じ軌跡(国有化とオブザーバー国家承認)の問題をさらに複雑化、深刻化させるだけの出口の見えない結果となっている。

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