(1)近年は情報化時代で経済の重要情報、知的財産権の保護、安全保障の必要性が高まり経済安全保障担当大臣もいる時代で、情報、ニュースの安全管理、安全保障は徹底されている社会のはずだが、NHKのラジオ国際放送の中国語ニュースで外部スタッフの中国語アナウンスで尖閣諸島を「中国の領土」といきなり原稿にないアナウンスをする事件が起きた。
(2)ニュースアナウンスといっても言い間違いはあり、そのためのチェック機能、言い直しはあるが、NHKではこういう意図的、誤情報アナウンスに対する適切な対策、対応ができていなくて、あってはならない報道となった。
情報、言論統制の中国ではいい悪いは別にして中国に不利な海外からのニュース、報道に対してTVでは突然画面が暗転して黒くなったり、音声が消えるということは珍しくないが、NHKでは適切なチェック機能、対策が働いていなかった。
(3)ウクライナ戦争では露TV放送がニュースを読んでいる背後に突然に女性スタッフがあらわれて戦争反対のプラカードを掲げるという珍事があり、放送事業者にとっても他人ごとではない情報化時代のニュース、情報発信の重要性と安全性、安全保障について問題意識も高まっていたはずの中での今回は冒頭のようなNHKニュース情報管理の不手際、不徹底の事件だ。
(4)NHKの組織的ゆるみ、たるみが出た事件だ。総務相による放送法にもとづく許認可権による放送事業者への強制関与という強硬な国家管理などあってはならないが、そうだからこそニュース、報道の正当性、正確性、伝達性、安全性についてニュースソースも含めて組織的な報道、ニュースの安全保障の仕組み、管理、確認、機能が働き、確立されて維持されなければならない。
(5)国民が何を信用していいのか、信頼できるのかわからないということになれば、社会不安、不信は大きい。自由の幅が大きい米国社会ではトランプ前大統領が都合の悪い情報、ニュースをフェイクニュースとして批判し、情報、言論統制、管理偏向の中国では通信を遮断することが常態化しており、それはまた情報、ニュースの価値、影響の大きさを示すものであり、利用される日本としても同様で変わらぬ情報、ニュースの安全保障の必要性、重要性だ。