オールドゲーマーの、アーケードゲームとその周辺の記憶

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セガが破格の扱いを行ったビデオゲーム(1)「ペンゴ」(1982)

2023年08月06日 21時33分45秒 | ビデオゲーム

セガは、こと宣伝には極力費用をかけたがらない、吝嗇(ケチ)な傾向が強いように思います。筐体モノなど強力に売り出したい高額の機械でもあれば豪華なフライヤーを作ることも時々はありましたが、通常のアップライトまたはテーブル筐体に収まる通常のビデオゲームのフライヤーは、例え裏面が白黒でも両面印刷であればまだ恵まれていた方で、片面印刷で済ませることも珍しくありませんでした。また、両面印刷であっても、表面と裏面で異なるゲーム機を掲載した例もあります。

しかし、そのセガにも、他と大きく異なる外見的特徴があるわけでもないビデオゲームであるにもかかわらずオールカラー二つ折り4ページの豪華なフライヤーを作成した例が、極めて少数ですが存在します。今回と次回の2回に分けて、そんな「破格の扱い」を受けたビデオゲーム2機種のフライヤーをご紹介します。

一つ目は「ペンゴ」(1982)です。これは今更ワタシが説明するまでもない往年の名作で、発売当時も、そして今も愛好するファンは多いです。一般的にはセガの製品として紹介されることが多いようですが、実際に開発したのは「コアランド」でした。「コアランド」はその前身を「豊栄産業」と言って、今もヒット作として語り草になる「ジャンプバグ」(1981)(関連記事:レトロビデオゲーム同人誌のご紹介)を開発しています。

その「ペンゴ」がどういう経緯でセガから発売されることになったのかはわかりませんが、セガはペンゴを売り出すにあたり、二つ折り4ページの豪華フライヤーを作成しました。

二つ折り4ページのペンゴのフライヤーの、表紙側(上)と内側(下)。

「ペンゴ」は確かに良くできたゲームです。しかしこの豪華フライヤーが、当時のセガが「ペンゴ」の傑出したゲーム性を適正に評価して強くプッシュしようとした結果とはどうしても思えません。ひょっとして予算を消化するためにむりやり作ったのではないかと勘繰りたくなるくらい謎です。

「ペンゴ」のフライヤーをページごとに拡大。表紙、1ページ目、2ページ目、3ページ目、裏表紙の順。

普通のフライヤーは多くとも表紙機能を含んで2ページ、下手すると表紙の1ページ内にすべてを詰め込まなければならないのに、ゲームの説明に3ページ(うち1ページは裏表紙)も費やすことができた「ペンゴ」のフライヤー作成作業はさぞや楽しかったことと思います。

ところで「ペンゴ」は日本では大人気で海賊版まで作られましたが、アメリカではどうだったのでしょうか。一応家庭用に移植されたものがそこそこ出回ったようですが、「パックマン」や「ギャラガ」、あるいは「センチピード」のように今でも語り草になるほどスタンダードなタイトルのようにも見えません。

(次回「侍」につづく)


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6 コメント

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Unknown (TOM)
2023-09-05 04:49:39
日本でのヒットは、ペンゴのコピーを作りやすい事情もあったのかも知れません。
(新規に基板を起こしたペンゴコピーもありましたが
パックマンのコピー基板にペンゴコピーROMと多少のジャンパーで動く)

他社開発のペンゴに、日本でしか受けないであろうサムライ。
豪華パンフレットは確かに謎ですね。
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Unknown (nazox2016)
2023-09-05 21:15:18
TOMさんもかなり技術方面にはお詳しそうですね。ワタシは電気はからきしで図面もろくに読めません。海賊版を作るにしても結構な電子工学の知識が必要だと思いますが、いったいどういう人が作っていたのでしょうか。
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Unknown (TOM)
2023-09-09 04:19:59
いえいえ、そこまで電気技術は高くありません。
昔から、コピー基板等についていろいろ調べていた流れです。

そもそもオリジナルのペンゴの基板が、かなりパックマンの基板に似ています。
開発元のコアランドが、ブームが少し去って手に入りやすいパックマン基板を使い
ゲームを開発してただろうと考えます。

インベーダー前後から現れたコピー業者は、ギャラクシアンやらパックマンやら
いろいろコピーしてるので、新しいゲームが出ればすぐに解析したでしょう。

ペンゴの、新規に起こしたコピー基板は当時のオルカというゲーム会社(の子会社)が作っており
このオルカは、他社の様々なゲームをコピーしていました。

この会社自体は無関係?かも知れませんが、コピー基板を作る業者、それらを売る中間業者が
ヤクザがらみだというのはインベーダーの頃から問題になっています。

ROMコピーの改造は、コピーのコピーとも言うべきもので、法律が厳しくなる前は
ヤクザと関係あろうとなかろうと、全国津々浦々の小さな改造業者が
ゲームマシン誌やスポーツ新聞の広告欄で募集を出していました。
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Unknown (nazox2016)
2023-09-09 14:27:34
TOMさん、素晴らしい情報をありがとうございます。ワタシは業界の裏事情はほとんど知らないので、大変興味深いです。
このようなお話がコメント欄に埋もれたままでいるのは惜しいので、できればブログ本編でご紹介させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ご回答が無いか、または不都合である旨お知らせいただければ控えます。また、TOMさんがご存じの他のお話も聞かせていただければ嬉しいです。
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Unknown (TOM)
2023-09-12 01:03:11
いえいえ、ワタクシは当時を生きて、当時を見ていないので、参考にならないかも知れません。

例えば、20年前くらい前まではパックマンはコピー基板がたくさん出回ったという
世間の認識でしたが、ゲームマシン紙(誌ではなく紙ですね)のweb公開で知り得た情報も多数あります。

例えば共同という会社がナムコにきちんと許諾を得て発売した物は
中古市場では、ただのコピー基板として扱われていました。

オリジナル以外の、ライセンス生産は全てコピーと言ってしまえばそれまでですが
いわゆる違法コピーだっただろうという20年前の認識が変わりました。

ヤクザ~に関しては、インベーダー後くらいのゲームマシン紙に記事がありました。
コピー基板を売りさばく例と、ビデオポーカーなどのGマシン摘発とか。
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Unknown (nazox2016)
2023-09-12 23:07:33
ワタシは当時を生きているはずなのに、コピー基板の周辺のお話は殆ど知りません。「オルカ」は、「リバーパトロール」がヒットしてからしばらくは中堅のメーカーであったと思ってましたが、そういう出自だったのですか。「共同」も存じませんでしたが、ちゃんと許諾品を作っていたのに名が残らず、気の毒な感じがしますね。
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