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通約不可能性

※初めての方はこちら「プロローグ」「このblogの趣旨」からお読みください。

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「通約不可能性」という言葉をご存じでしょうか。

つうやくふかのうせい【通約不可能性】
英語incommensurabilityの訳語で、科学哲学の世界で使われる言葉。異なる理論体系(パラダイム)の間に共通の理論的基盤がないときに、理論体系同士の比較を行うことが出来ないという状況を指して使われる言葉。アメリカの科学史家クーンが提唱した科学論上の概念。共約不可能性。

科学哲学という分野で使われる言葉なので、なんだか小難しい感じに見えますが、これを、おもいっきり噛み砕いて言い換えると、「ちっ、さっぱり話が噛み合わねぇ…」という意味です。

「異なる理論体系(パラダイム)の間に共通の理論的基盤がないときに、理論体系同士の比較を行うことが出来ない」、これを、おもいっきり噛み砕いて言い換えると、「話している内容のベースの解釈が異なっていたら、どんなに話を続けても分かり合えない」となります。

これは、科学哲学の世界に限られた話ではなく、我々の日常生活のあらゆる場面で遭遇する出来事です。


「話している内容のベースの解釈が異なる」という状況は色々な形があります。

一番分かりやすいのが、話の中で現れた「単語の意味」そのものが、話している者同士で一致していない場合。

例えば、敬虔なクリスチャンが思う「宗教」という言葉と、地下鉄サリン事件に巻き込まれた方々の思う「宗教」とでは、その意味合いが全く異なります。

前者が「宗教は善だ!」と主張したところで、後者は「何馬鹿なこと言ってんだよ!お前こそ目を覚ませ!」と、どんなに話しても噛み合うことはありません。

あと、話が噛み合わなくなる要因として考えられるのは、時系列の取り違い。

過去の事を話しているのか、現在のことを話しているのか、未来のことを話しているのか。

同じことを話していても、どこを見ているかによって、その着地点は全く異なってしまいます。

その他、色々な状況をよくよく見ていくと、あらゆる所で、あらゆる形で、行われている争い・決裂等のほとんどが、この通約不可能性が原因となっていることが見えてくるでしょう。


で、結局何が言いたいのかと言いますと、通約不可能性ってのは、当事者にとっては大問題でも、端から見ると、単なる笑い話ってことが多々あります。

物事を一歩引いて見る視野を手に入れると、世の中、途端に面白くなりますよ。


ってことで、こちら、さらに分かりやすい、通約不可能性の「具体例」(動画)


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