新海誠監督新作。
九州で叔母と2人暮らしをしている鈴芽は、
登校中に廃墟を探している不思議な青年と出会う。
彼のことが妙に気になって、廃墟に向かった鈴芽だったが…というあらすじ。
ボーイミーツガール要素ももちろんありますが、今回かなり薄い。
なんと女性の連帯が描かれます。それがかなりいい感じ。
新海監督の現時点での最高傑作ではという声もチラホラ聞きます。
系統としては「星を追う子ども」路線なのですが、段違いの出来栄えです。
相変わらずきらきらとした、美しい風景が描かれています。
鑑賞上の注意ですが、
演出として緊急速報メール、アラートの音が鳴るシーンが何度もあるので、
災害にトラウマのあるかたは、もしかするとやめておいたほうがいいかもしれません。
それと小動物っぽいものがかわいそうな目に遭います。
ラストまでばれ
死を扱った日本のエンタテインメントは泥臭くべちゃっとしたものが多くて、
髪を一つくくりで片側に流したお母さんがフフフって笑いながら庭で洗濯物を干したり
フフフって笑いながらエプロンしてお料理してたり、
お母さんの手紙が出てきたり、霊とお話したり、過去映像がスローモーションになったり、
わあわあ泣いたり叫んだり。
アーーーこりゃだめだーーーってなるんですが、この映画のお母さんの扱いはよかった。
なんか木工なさっていて、作業の段取りに個性が見える感じ。
お母さんの死因などは中盤以降まで隠されていて、
主人公の移動先の共通点に徐々に気づいて、それで終盤の日記の日付でああやっぱり、
となるように作られているのでは?と思っているが、
割と記事や紹介文などで「311を描いた映画」と書かれていて戸惑う。
私はこの映画が「311を描きました!むしろタイトル311フォーエバーです!」
みたいな宣伝の仕方をしていたら、きっと見なかったと思います。
この映画は震災と死がメインではなく、災害を阻止しようとする鈴芽の頑張りと淡い恋、
育ててくれた叔母との関係、行先の土地で出会った女性たちとの連帯がメインなんだけど、
震災をエンタテインメント化した作品と区別のつかない人も多かろうから
ある程度のバッシングは覚悟なさってるのだろう、度胸あるな監督。
この映画で私が、んーと思ったのは2点。
おい教師志望ならもうちょっと学生から離れて喫煙しなよね、ってことと
怪我しててもイケメンでも、知らない人を家に上げたらだめだよってこと。
(これは叔母さんが言及したのでまあよい)
「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」との共通点が意外に多かった。
現実を物語に落とし込んだ作品であること、保護者の死があるところ、
しかし悲劇を売りにするのではなく、生きている人間の再生を真摯に描いていること、
女性たちの連帯が描かれるところ。
この映画の、恋愛の比重がおおきいのはいかにも新海監督っぽい。
でもまあ草太さんもすずめさんも、周囲の人間との関係がきちんと表現されていたので
恋愛するためにボトっと落ちてきた人形…という感じは全然しなかった。
この映画のヒロインの相手役の草太さん、監督の作品では異例の男子で、
姿かたちが美しいということ以外、序盤はなにも情報がない。
そしてなんだかとても礼儀正しい人だというのが辛うじてわかる。
そしてどんどんヒロインポジションを占領していき、
突然現れた友人の芹澤という人からやっとまともな情報が得られる。
この作品で鈴芽は救いを得るけど、もっと劇的に良い方向へ変化したのは草太さんのほうだと思う。
ヒロインなのだ彼は…。
ところでお友達の芹澤さん、SNSで検索したら
本編では全く描かれなかった2人の出会いや家庭環境の空想で溢れかえっていてニッコリした。
そう、描かれてない部分が巨大すぎるくせに
思わせぶりなことを言われるとオタクはつい空想をしてしまうのだ…。
とりあえずどっちかの家に泊まったりはしただろうから(でも合鍵はもらってない)
草太のダイナミック寝相は体験済だろう。
夜中に目が覚めたら草太が猫のポーズ(ヨガの)で寝ていて「!!!???」ってなった芹澤はいるはずだ。
あと転がってきた草太が自分を乗り越えて、部屋の端まで行って、
また戻ってきて布団にリターンしたときは笑いをこらえるのに苦労したに違いない。
新海監督、「世間が騒ぐBLというものを我もしてみむとてするなり…」と適当にやってあれなら、
もう本当に才能ってやつを見せつけられた気がするので(女性スタッフの意見を反映したのかもだけど)
次回作もぜひBL要素を盛り込んで、凡人の我々をキャーキャー言わせてほしい。
百合もいいと思います。どっちもやろう!
ダイジンは、私は猫としては全然見てなくて、ずっと神だと思ってたんだけど、
ねこがかわいそう!という意見をたくさん見かけて少しびっくりした。
日本の神ってああいう残虐なところがあり、
でも突然子供のように振る舞ったりするイメージなので。
しかしダイジンは最初から最後まで行動を理解できたが、
サダイジンは途中叔母さんに憑依したりしてよく分からなかった。
まあ結果的にはあれでよかったということで、ダイジンより位の高い神なのだろうか。
それと映画とはあまり関係ないが日本の神のイメージに(仏ではない)
荒魂・和魂というような二面性があるのは、
地震(自然災害)が多いことと無関係ではないのかもしれない。
兵庫の廃墟は摩耶山かなと思った。(遊園地はほとんど残ってない)
関西の廃墟の中で一番有名な摩耶ホテルがあります。
ミミズのデザインと動きはよかった。マグマと内臓とヤマタノオロチを混ぜたような。
シンメトリなとぐろの巻き方も気持ち悪かった。
あとすごく気になるポテトサラダ入り焼うどん…味の想像ができないのでそのうち作ります。
気になる細部が沢山あるのはいい映画だと私は思う。
できるだけ多くの人に鑑賞してほしい。
九州で叔母と2人暮らしをしている鈴芽は、
登校中に廃墟を探している不思議な青年と出会う。
彼のことが妙に気になって、廃墟に向かった鈴芽だったが…というあらすじ。
ボーイミーツガール要素ももちろんありますが、今回かなり薄い。
なんと女性の連帯が描かれます。それがかなりいい感じ。
新海監督の現時点での最高傑作ではという声もチラホラ聞きます。
系統としては「星を追う子ども」路線なのですが、段違いの出来栄えです。
相変わらずきらきらとした、美しい風景が描かれています。
鑑賞上の注意ですが、
演出として緊急速報メール、アラートの音が鳴るシーンが何度もあるので、
災害にトラウマのあるかたは、もしかするとやめておいたほうがいいかもしれません。
それと小動物っぽいものがかわいそうな目に遭います。
ラストまでばれ
死を扱った日本のエンタテインメントは泥臭くべちゃっとしたものが多くて、
髪を一つくくりで片側に流したお母さんがフフフって笑いながら庭で洗濯物を干したり
フフフって笑いながらエプロンしてお料理してたり、
お母さんの手紙が出てきたり、霊とお話したり、過去映像がスローモーションになったり、
わあわあ泣いたり叫んだり。
アーーーこりゃだめだーーーってなるんですが、この映画のお母さんの扱いはよかった。
なんか木工なさっていて、作業の段取りに個性が見える感じ。
お母さんの死因などは中盤以降まで隠されていて、
主人公の移動先の共通点に徐々に気づいて、それで終盤の日記の日付でああやっぱり、
となるように作られているのでは?と思っているが、
割と記事や紹介文などで「311を描いた映画」と書かれていて戸惑う。
私はこの映画が「311を描きました!むしろタイトル311フォーエバーです!」
みたいな宣伝の仕方をしていたら、きっと見なかったと思います。
この映画は震災と死がメインではなく、災害を阻止しようとする鈴芽の頑張りと淡い恋、
育ててくれた叔母との関係、行先の土地で出会った女性たちとの連帯がメインなんだけど、
震災をエンタテインメント化した作品と区別のつかない人も多かろうから
ある程度のバッシングは覚悟なさってるのだろう、度胸あるな監督。
この映画で私が、んーと思ったのは2点。
おい教師志望ならもうちょっと学生から離れて喫煙しなよね、ってことと
怪我しててもイケメンでも、知らない人を家に上げたらだめだよってこと。
(これは叔母さんが言及したのでまあよい)
「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」との共通点が意外に多かった。
現実を物語に落とし込んだ作品であること、保護者の死があるところ、
しかし悲劇を売りにするのではなく、生きている人間の再生を真摯に描いていること、
女性たちの連帯が描かれるところ。
この映画の、恋愛の比重がおおきいのはいかにも新海監督っぽい。
でもまあ草太さんもすずめさんも、周囲の人間との関係がきちんと表現されていたので
恋愛するためにボトっと落ちてきた人形…という感じは全然しなかった。
この映画のヒロインの相手役の草太さん、監督の作品では異例の男子で、
姿かたちが美しいということ以外、序盤はなにも情報がない。
そしてなんだかとても礼儀正しい人だというのが辛うじてわかる。
そしてどんどんヒロインポジションを占領していき、
突然現れた友人の芹澤という人からやっとまともな情報が得られる。
この作品で鈴芽は救いを得るけど、もっと劇的に良い方向へ変化したのは草太さんのほうだと思う。
ヒロインなのだ彼は…。
ところでお友達の芹澤さん、SNSで検索したら
本編では全く描かれなかった2人の出会いや家庭環境の空想で溢れかえっていてニッコリした。
そう、描かれてない部分が巨大すぎるくせに
思わせぶりなことを言われるとオタクはつい空想をしてしまうのだ…。
とりあえずどっちかの家に泊まったりはしただろうから(でも合鍵はもらってない)
草太のダイナミック寝相は体験済だろう。
夜中に目が覚めたら草太が猫のポーズ(ヨガの)で寝ていて「!!!???」ってなった芹澤はいるはずだ。
あと転がってきた草太が自分を乗り越えて、部屋の端まで行って、
また戻ってきて布団にリターンしたときは笑いをこらえるのに苦労したに違いない。
新海監督、「世間が騒ぐBLというものを我もしてみむとてするなり…」と適当にやってあれなら、
もう本当に才能ってやつを見せつけられた気がするので(女性スタッフの意見を反映したのかもだけど)
次回作もぜひBL要素を盛り込んで、凡人の我々をキャーキャー言わせてほしい。
百合もいいと思います。どっちもやろう!
ダイジンは、私は猫としては全然見てなくて、ずっと神だと思ってたんだけど、
ねこがかわいそう!という意見をたくさん見かけて少しびっくりした。
日本の神ってああいう残虐なところがあり、
でも突然子供のように振る舞ったりするイメージなので。
しかしダイジンは最初から最後まで行動を理解できたが、
サダイジンは途中叔母さんに憑依したりしてよく分からなかった。
まあ結果的にはあれでよかったということで、ダイジンより位の高い神なのだろうか。
それと映画とはあまり関係ないが日本の神のイメージに(仏ではない)
荒魂・和魂というような二面性があるのは、
地震(自然災害)が多いことと無関係ではないのかもしれない。
兵庫の廃墟は摩耶山かなと思った。(遊園地はほとんど残ってない)
関西の廃墟の中で一番有名な摩耶ホテルがあります。
ミミズのデザインと動きはよかった。マグマと内臓とヤマタノオロチを混ぜたような。
シンメトリなとぐろの巻き方も気持ち悪かった。
あとすごく気になるポテトサラダ入り焼うどん…味の想像ができないのでそのうち作ります。
気になる細部が沢山あるのはいい映画だと私は思う。
できるだけ多くの人に鑑賞してほしい。