趣味の電脳

WEBサイトの作り方、PCの周辺機器、タブレットの活用等について

昔の論説は現在もそのまま通用する

2014-09-09 00:21:26 | サーバー

以下文章は、野村胡堂の昭和14年発行「名曲決定盤」より抜粋したものである。この文章の蓄音機(レコードプレーや)をPCとかタブレット、スマホ等に置き換えてみると、そのまま平成26年9月9日現在のコンピュータ・通信機器に当てはまるので、人間の考えることはいつの時代もそう変わらないものだと、つくづく思います。*********************************************************************************************************

蓄音機選択の困難についてはさきに述べた通りであるが、その項でも述べた通り、何を選ぶかは結局その人の好みと経済力とがこれを決定する。ABCとほぼ同じ値頃の同じ三会社の蓄音機を挙げて『どれを買ったらいいか?』と問われても、やはり好みに委すがよいと答えるほかはない。

 蓄音機はやはり一種の贅沢品であるから、安いものより高いものの方が大体良いと決まっている。しかし高いのが絶対に良いとは言い切れない。また有名なもの必ず良品とは言えない。これは宣伝のやり方一つで有名なものがあるからだ。中には著名な音楽家や批評家の讃辞を羅列して売り込むものもあるが、これとて全幅の信用をかけるわけには行かぬ。なぜなら、音楽家の中には蓄音機にまるで無関心な人もあるからで、こういう種類の宣伝をそっくり信用するのは危険が伴う。仮りに機械のことがよくわかる音楽批評家が書いたものでも、短所を指摘した箇所は遠慮なくカットして、長所を褒めた都合のいい部分だけ抜いて宣伝に使うというのはよくある手だから、これもまるっきり当てにすることは出来ない。

 先輩の意見を訊くのも一つの方法だが、そういう人の中には自分の持っている機械を無上のものとしてそれだけを勧めることがあるから、やはり広く意見を求め、これを参考として自分で選択するのが最も理想的である。大体において信用もあり名も通っている品なら間違いないが、今も申したとおり宣伝で得た信用や有名があることも考慮の中に加えねばならぬ。

 店で番頭に相談するのも一法であるが、蓄音機屋というものは正直のところ儲けの少いのよりは利幅の大きいのを勧めたがるのが人情だから、それも丸々信用できない。中には定価の半分ぐらいで卸される物さえあるから、番頭の意見も参考にはなるが無条件で従うわけには行かぬことを十分心得ておかぬと、飛んだ目に会ってしまうことがある。」(昭和14年・「名曲決定盤」より)

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以下に、上記の文章を多少現代風に手直しして書き換えてみます。

タブレットの選択の難しさについては、さきほど述べた通りであるが、その項でも述べた通り、何を選ぶかは結局その人の好みと経済力とがこれを決定する。アップル、マイクロソフト、グーグルとほぼ同じ価格の同じ三会社のタブレットを挙げて『どれを買ったらいいか?』と問われても、やはり好みに任せるのがよいと答えるほかはない。

 タブレットはやはり一種の贅沢品であるから、安いものより高いものの方が大体良いと決まっている。しかし高いのが絶対に良いとは言い切れない。また有名なものが必ず良い品とは言えない。これは宣伝のやり方一つで有名なものがあるからだ。中には有名な情報関係研究者や批評家の讃辞を羅列して売り込むものもあるが、これにしても全部信用するわけには行かない。なぜならば、情報関係研究者の中にはタブレットにまるで無関心な人もあるからで、こういう種類の宣伝をそっくり信用するのは危険が伴う。仮りにタブレットのことがよくわかる情報関係研究者が書いたものであっても、デメリットを指摘した箇所は遠慮なくカットして、メリットを褒めた都合のいい部分だけを抜き出して宣伝に使うというのはよくある手だから、これもまるっきり当てにすることは出来ない。

 先輩の意見を訊くのも一つの方法だが、そういう人の中には自分の持っているタブレットを最高のものとしてそれだけを勧めることがあるから、やはり広く意見を求め、これを参考にして自分で選択するのが最も理想的である。大体において信用もあり名も通っている品なら間違いないが、今も申し上げたとおり、コマーシャルで作られた信用や有名ブランドがあることも考慮の中に加えないといけない。

 販売員に相談するのも一法であるが、量販店の店員は正直のところ儲けの少いのよりは利幅の大きいのを勧めたがるのが人情だから、それも丸々信用できない。中には定価の半分ぐらいで卸される物さえあるから、店員の意見も参考にはなるが無条件で従うわけには行かないことを十分心得ておかないと、飛んだ目に会ってしまうことがある。

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2 コメント

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野村胡堂と言えば… (isam)
2014-09-10 00:05:29
 もうかなり昔ですが、岩手県の普段走らない道を走っていると、野村胡堂の記念館見たいのを偶然見かけました。普段は盛岡へ行くときは、国道4号線の西側を通るんですが、その時は東側を通りました。紫波だったように覚えてますが。
 昔テレビで連続の捕り物の、銭形平次だったでしょうか?作者ですよね。
 記憶に基づいて書いてるので、間違ってたら御免なさい。
銭形平次の作者・・・その通りです (著作者)
2014-09-10 10:10:29
野村胡堂は銭形平次の作者です。この人が昭和初期からの世界的にも有名なオーディオ評論家です。なぜ時代劇の作者が?という気もしますが、名曲決定版は私の愛読書であります。昔の指揮者フルトベングラーやトスカニーニ、ピアニストのコルト、バックハウス、バイオリニストのメニューイン、クライスラー、声楽家のシャリアピン、カルーソーなどに関する逸話や魅力的な論評が気に入っています。

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