「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

ふる里の鯉も被曝や夕焼雲 冨澤栄子 「滝」8月号<滝集>

2015-08-20 04:52:31 | 日記
 二〇十一年三月十一日、あってはならない事がおきてしま
った。大地震による原子力発電所の放射能の拡散である。周
辺の住民は全国に避難を余儀なくされ、その状況はいまも続
いている。だが被曝したのは人間だけではない。環境省は直
後から、野生の動植物、メダカ、ミツバチ、カエル、ネズミ、
蝶、イワナは胃の内容物、東北サンショウウオの卵、松、杉
等あらゆる生物の観測を、中長期的に続けている。作者の親
しんできた鯉も例外ではない。季語の夕焼雲がせつない。
 これを書いている今日は八月六日。まもなく広島平和記念
式典が始まる。福島のこともいっしょに考える日である。(小林邦子)