「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

虹の根の森を雲水こころざす 菅原鬨也 「滝」8月号<飛沫抄>

2015-08-09 04:09:40 | 日記
 中学校の教科書に掲載されている定番句に高浜虚子の「春
風や闘志いだきて丘に立つ」がある。校長先生が新入生にむ
けての訓示に多く使われている。掲句は虚子のこの句に似て
いるようで実は似ていない。
 虹はある程度の距離間を置かないと、虹の実体を見ること
ができない。しかし実体を見極めようと虹の根元の、その場
に行くと少し霧がかかっているだけで、七色の虹そのものの
実体を見ることができない。まるで人生の真理を追究してい
るかのように思える。
 人間の生き方を求めて、行雲流水の様に所定めず遍歴修行
する禅僧。この雲水は若き僧か老僧か。私は老僧と思いた
い。実にスケールの大きな美しい作品である。(梅森 翔)