「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

隣席の話つぶさにかき氷 谷口加代 「滝」8月号<渓流集>

2015-08-11 04:30:05 | 日記
 今世界の要人の盗聴問題が新聞等で話題になっている。し
かしこの句の盗聴は可愛いもので、話の中味は、友人への悪
口か、旦那への不満か、嫁に対する愚痴か等の庶民の世間話
であろう。このような情況になったことは、誰でも何度か経
験していることだろう。
 初めは何気なく悪気がなく聴いていた作者が最後は耳がダ
ンボになるようになったのであろう。隣席の人は、作者にし
っかり聞かれているのに気が付かないで、話の中味がどんど
んと佳境に入っていく。作者の「かき氷」もどんどんと溶け
いく。やはり夏は心も体も解放的になり無防備になっている。
季語の「かき氷」が効いていて冬の飲み物や食べ物では句に
ならない。古い諺に「壁に耳あり障子に目あり」である。(梅森 翔)