「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

手品師の普通の両手はたた神 小林邦子 「滝」8月号<瀑声集>

2015-08-21 03:56:05 | 日記
 テレビで見る手品師をみると、話術で人を笑わせ煙に巻く
タイプと本格的な芸で人を驚かせるタイプの二つに大別され
る。いずれにしても手の指の繊細な動きにより一瞬見る人を
狂わせ驚かせている。手品師の芸の命は手(指)に掛かって
おり、文字通りの手品師である。
 この句のように、手品師の手は一般人の手とほとんど変わ
りはない。手品には隠された種があると思うが、長年の手指
の訓練によってあのような離れ業ができるのであろう。この
句の季語の「はたた神」は夏の季語の雷である。一瞬の雷鳴
や閃光で人を驚かせてその隙に技を完成する手品と共通して
いる。地震、雷、火事、親父の怖さの順番が、近年親父の権
威失墜で落ちているのは容認できるが変って放射能が一番に
なる世の中が来ないことを祈るだけだ。(梅森 祥)