「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

万緑やショパンの端に父が棲む 越谷双葉 「滝」8月号<滝集>

2015-08-16 04:35:32 | 日記
 万緑とピアノの鍵盤の白が草田男の句を思い出させる。爽
やかな句である。父上はショパンを愛したのだろう。もしか
したらご自分がピアノを弾いていたのかも知れない。そして
作者も。ショパンを聴けばそこに父がいる。ショパンを弾け
ば傍らに父がいる。「棲む」の措辞からショパンと父との濃
密な関わりが感じられる。そして作者と父との音楽を通した
素敵な愛が感じられる。どの曲が一番のお気に入りだったの
だろう。今年の夏のこの暑さも、ショパンを聴いていると、
どうやら乗り越えられそうな気がする。(小林邦子)