「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

稲架襖木綿のやうな少女来る 栗田昌子 「滝」1月号<滝集>

2015-01-24 05:32:49 | 日記
 実りの秋の象徴として昭和四十年代迄は稲架襖が農道や畔
の東西の方向に向かって掛かっていたが、その稲架棒を仕舞
って置く小屋が各農家の道路側等に建っていたものである。
子供の頃はかくれんぼの格好の隠れ場所でもあった。句の風
景はその時代のものであろうが、「木綿のやうな少女」とい
う痺れる表現で一変した風景が広がった。純真さ、清潔感、
露草色、小菊、おかっぱではない、ヨーロッパ的、色々想像
してみたが、シューズの紐が解けてこけたとき、その紐を結
んでくれるような少女というイメージが浮かんでは消える。
この惑わしさこそが栗田女史の真骨頂である。(赤間学)