「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

冬の虹口の大きな女来る 谷口加代 「滝」1月号<渓流集>

2015-01-14 04:23:48 | 日記
 冬の虹とは一色も欠かさない鮮明な虹のことであり、寒い
地上でふさぎがちになっている人々の心を、にわかにときめ
かせてくれながら、神々しさをもまとっている。中七下五は
「口の大きな女来る」と繋がるが作者が女性であるので男子
としては違う捉え方になりそうだが、街騒の中を、溌剌と開
放感に溢れた口の大きな若い女性が来ると昔を懐かしむ自画
像が描かれている。そして、その晴れがましい姿と背中合わ
せに「あはれ」「儚さ」を読者に感じさせる。(赤間学)