「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

黒塚に遺らずの雨や鶏頭花 鈴木三山 「滝」12月号<滝集>

2015-01-01 03:59:33 | 日記
 黒塚は福島県二本松にある鬼婆の墓の事だが、「安達ヶ原
の鬼婆」として能で、鬼に食われた人々の残骸と、それを食
った鬼婆のすさまじさをおどろおどろしく演じられている。
謡は「鳴神稲妻天地に満ちて、室かき曇る雨の夜の、鬼一口
に食はんとて、歩みよる足音、ふりあぐる鉄杖のいきほひ、
あたりを払って恐ろしや」と詞章をうたう。何となく気味悪
さを感じていたところに薄暗くなり「遺らずの雨」まで降っ
て、鶏頭花の赤に血の連想があったと思われる句。(H)


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