日本や炊き立て飯に寒卵 成田一子 「滝」1月号＜瀬音集＞

　大上段に「日本や」と前置きして、さてどのように展開さ
せるのか興味をそそる。中七下五に「日本」の見方として典
型的な言葉にすると「焚き立て飯に寒卵」というのである。
そうそうと共感と更に納得させてしまううまさがある句であ
る。軽いタッチで切り取る冴えと、諧謔味を自ずと彷彿とさ
せる伎は磨いて得られるものではない。（赤間学）