「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

下萌や時計は刻をすり減らし 平川みどり 「滝」4月号<滝集>

2014-04-29 05:44:23 | 日記
 枯れ草や残雪の中から小さく草が顔を出しているのを見る
と、その健やかさに心が弾み、春が巡ってきた事に「さあ」
と、何かを始めたくなったりするものですが、「時計は刻を
すり減らし」という時間が配されて、春までに成さなければ
ならなかった事が不意に頭を過ったとも、つい長い時間下萌
を見ていて「もうこんな時間」と慌てたとも、時計に動かさ
れている人間の時間と、自然の時間の、同じだけれど違う今
の切取。草と人間の一生の対比、と思う中に、進まない震災
復興が見えて来てならないのです。下萌する大地の未曾有の
大地震から三年。無情に時ばかりが過ぎ行く感じが拭いがた
く心を占めてしまいます。(H)