「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

待春やドーベルマンの耳動く 内山貴美子 「滝」3月号<滝集>

2014-04-17 05:39:30 | 日記
 「待春」という抒情的な季語に、感情を述べずドーベルマ
ンに春を待つ心を託した句。ドーベルマンの精悍なイメージ
が冬の厳しさの表現であり、「耳動く」にかすかな春の気配を
たぐり寄せて、作者が五感を澄ましている感じがしますね。
犬笛を思えば、犬の音源を聞き取る能力の高さや、その能
力を上げるために断耳されるドーベルマンという犬種を選ん
だ妙。「ん」の重なりで生れた弾むようなリズムが「春の足
音」を連想させることに驚きを感じた句でした。(H)