「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

パン種をねむらせ花の人となる 酒井恍山 「滝」4月号<瀬音集>

2014-04-21 05:12:23 | 日記
 「ねむらせ」という、パン生地のイーストの発酵を待つ
時間は一時間弱です。地区で開催されるお花見にちょっと
顔を出す感じ?。しかし「生地」ではなく「種」と記して
あります。どちらも二文字ですが微妙に何かが違うことに
思いめぐらすうちに、ホームベーカリーという、炊飯器と
同じように材料を入れて、タイマーをセットしておけば出
来たてのパンが食べられる機械を思い出しました。泊りが
けで花の名所に出掛ける奥様を詠まれたのでしょう。味噌
汁や焼き魚は作れなくても、コーヒーと目玉焼きなら作れ
るでしょうという配慮です。きっと冷蔵庫にはサラダが作
ってあって、バターやジャムが一つのトレーに準備してあ
るのでしょう。奥様の「いってきます」に「うん」と答え
るだけの作者だけれど、「ありがとう」も「気を付けて行っ
てらっしゃい」も含まれるのでしょう。日常から非日常へ
の導入。俳句はステキですね。(H)