「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

文楽のかしら目を剝く鰤起し あいざわ静子 「滝」3月号<滝集>

2014-04-13 05:36:17 | 日記
 文楽、昔は人形浄瑠璃と呼ばれた、太夫と三味線が浄瑠璃
を義太夫節という音曲で語り、人形遣いとの三位一体の音楽
劇である。人形の首(かしら)はとても精巧に作られており、
目を剝いたり、眉毛を上げたり、口が裂けたりと表情豊かに
演じられる。一瞬の芸に見惚れてしまう。
 近松門左衛門作「冥途の飛脚」は代表的なもので、よくテ
レビに上演され好きな演目である。飛脚の公金を、遊女梅川
の身請けに使ってしまい、追手から逃れるように、忠兵衛と
梅川の道行の段。追手の縄を躱して梅川を守ろうとする男の
意地で睨む形相は、「冬の雷」と相まって「目を剝く」人形
遣いの見せ場でもある。(今野紀美子)