「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

日に一度沖に日の落ち鰤漁場 相馬カツオ 「滝」3月号<滝集>

2014-04-10 04:59:48 | 日記
 冬型の気圧配置が強まり「鰤起こし」と呼ばれる雷が鳴り
だす。西風が吹き、海が荒れるほど獲れるといわれる鰤。未
明のそんな海に、四艘にそれぞれの漁師が乗り込み沖に向か
って出発する。明かりを灯した船上に方言が飛び交い、慌た
だしくも無駄のない収獲作業。すぐさま港に戻り競りが行わ
れる。作者は日没の時間に寒風吹きすさぶ浜に居て、そんな
場面を思い描いている。と、鑑賞してみたが、身辺に句を引
き寄せて句を読むことも出来る気がする。『今日もつつがなく
一日を終えた』と、冬の早い日暮れを思っているのは、夕刊
を読む炬燵。晩酌の燗の匂い。大皿に盛られた夕餉の鰤のお
刺身の美味しさに思った「鰤漁」かと・・・。明朝に繋がる
因由の日没も頭を過りました。(H)