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『同性婚 私たち弁護士夫夫です』

2016年07月07日 | BOOKS
『同性婚 私たち弁護士夫夫です』(ドウセイコン ワタシタチベンゴシフウフデス)
南 和行:著
祥伝社


 「弁護士夫夫(ふうふ)」
 男性の弁護士さんであるお二人が結婚式を挙げて、同性パートナーとして法律事務所を立ち上げるまでの紆余曲折の体験談と、同性カップルが直面するさまざまな法律問題、法律と結婚・家族について、そして、同性婚と人権について書かれた1冊です。

 「一億総活躍社会」と言うと、女性の社会進出ばかりが話題になりますが、ほかにも社会的な障壁・差別があって、社会で活躍することだけでなく、普通の生活をするのが難しい人もたくさんいることを、あらためて考えさせられます。

 テレビやネットで「LGBT」という言葉が聞かれるようにはなりましたが、まだまだ多くの人に理解されていないのが実情です。
 生きづらさを感じながら、マイノリティーであることを隠して生きている人が多いのだろうと、同じようなテーマの本を読むたびに感じます。カミングアウト(アウティング)することをためらうような、そんな世の中であるのは間違いないと思うからです。
 本当の自分を隠して、違う自分を演じるストレスは、当事者でないと分からないのかもしれないですが、そんな無理を社会が彼らに強いていることを申し訳なく思います。

 人は自分の「理解できないこと」「知らないこと」に恐怖を覚えて嫌悪・攻撃するのだと、人類はずいぶん前から分かっているはずなのに、差別や迫害は未だになくなる気配を見せません。
 宗教でも、恋愛観でも、「自分こそが正しい」「自分こそが価値がある」と、自分の優越感を求める欲望がなくならないからでしょうか。

 もっと子どもの頃から、ちゃんと「いろいろな人がいる」「いろんな家族の形があって、いろいろな幸せの形がある」「その幸せに優劣はないんだよ」と教えてあげていたら、そしていろいろな価値観を持つ人たちと付き合っていたら、多くの人を理解して、多くの人が生きやすい社会に少しずつ変われるでしょうか。
 私は漫画やライトノベルにも期待したいと思っています。
 子どもの心に、すっと入り込めるコミックスやラノベには、LGBTのキャラクターもたくさん登場するからです。理屈抜きで、教訓抜きで、嫌悪感抜きで、「こんな人もいるんだな」と、ただただ楽しめたら、学校や家庭での教育と同じくらい意味があるのじゃないかとも思うのです。偏見や差別感情のある本もありますが、だからこそ多種多様の本を読んでほしいものです。

 私も、親として子どもの無意識に「差別」を植え付けないように、良識と想像力のある大人になりたいと思います。
 そして、「どんな君でも大切だよ」「愛してるよ」と伝えてあげることが、差別を減らすんじゃないかと、私は信じています。「自分には価値がない」「愛されていない」と思う人は、自分と違う他人に寛容になれない気がするのです。「自分はこんなに不幸なのに」という負の感情には多くの差別を増大させる危険があると思います。小さい一歩だけれど、まずは自分の家族を愛して、思っていることを伝え続けていきたいと、思っています。
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