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野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

”INJURY LIST”

2025-05-05 06:39:08 | その他
4日のAMA SX第16戦DENVERのピット情報をアメリカの専門誌「Motocross Action」で眺めていると、今回もINJURY LIST”が記載されていた。今回新たにKEN ROCZEN – ANKLEが怪我人リストに加わり、JUSTIN BARCIA – KNEE、HUNTER LAWRENCE – SHOULDER等々、世界のモトクロス界を代表する10数名の選手が怪我で欠場するとあった。何れも世界最高級の選手たちで、世界最高峰レースの覇権を獲得すべく、かつその実力もある選手ばかりなので、なんで怪我するんやろうかと残念に思いながら、流し読みした。 すると今度は、5月3日のFBの投稿記事に更にびっくりするような記事があった。全日本モトクロス選手権の元チャンピオンでもある、新井宏彰 選手が投稿したもので「裁判に勝った」と言う内容だった。
新井選手の投稿記事

Hiroaki Arai  :

長い戦いになりましたが、当時の痛みや悔しさを忘れず、泣き寝入りせずに戦い勝訴判決でした。当時の所属チームの上司には『そもそも誤診されるような、ややこしい怪我をしたお前が悪い!それに尽きる』 という発言をされましたが、そうではなかったことがこの判決で、しっかり証明ができました。今回の勝訴判決はこれからのアスリートにとっても良い結果だったと思います。しかしその言葉でついた僕の心の傷は一生消えませんし一生忘れる事はないですね。  
       

このような事件など過去、聞いたこともなく、ましてや結果的には医師の誤診が原因でプロ選手生命を絶たれた稀有な事件なので、興味があったので調べていると、「医師の「誤診」でモトクロス元プロに後遺症 クリニック側に賠償命令」と言う記事「医師が適切な診断をしなかったために後遺症を負ったとして、モトクロスの元プロ選手、新井宏彰さん(40)が、クリニックを運営する医療法人社団あんしん会に約4800万円の損害賠償を求めた民事訴訟があり、神戸地裁(野上あや裁判長)は同会に約2400万円の支払いを命じた」とあった。

新井さんのFB記事に更に驚いたのは当時の所属チームの上司には『そもそも誤診されるような、ややこしい怪我をしたお前が悪い!それに尽きる』 という発言をされましたが、そうではなかったことがこの判決で、しっかり証明ができました」との記述だが、これはどういう意味なのか暫く理解できなかった。多分思うに、レース走行の練習中の転倒による怪我で長期離脱のやむなきに至り、更には選手生命さえも途絶えてしまう原因を作ったのは、ややこしい怪我をした選手本人に責任があると新井さんの所属チームの上司が結論付けした事だろうと類推される。しかし一般的に言って、一流のプロの選手でさえ技量の限界付近の勝負を掛けたモトクロスレースやその練習中での転倒は皆無にはできず、結果的にそれが怪我に繋がることもあり得る。だから、チャンピオンクラスの極めて高い能力をもつ選手を幸いにも保有したチーム組織は彼らが転倒に巻き込まれても怪我しないように、あるいは怪我しても早期に復帰できるように日常から選手の健康状態や体力を維持すべく管理し、かつ転倒に繋がる恐れがあるマシンも順次改良していくのが一般的なので、ややこしい怪我をした選手が悪いなどとは、全日本や世界選手権を争っているチーム組織は普通、考えない。

ところで、新井選手とは、14、5年ほど前、神戸・伊川谷の神戸ウェストゴルフ練習場に用事で行った際、モトクロス車の走行音が聞こえてきたので、久振りに直ぐ近くにある「モトクロスパーク神戸」に寄ってみると、当時のカワサキワークスライダーの新井選手を含め数名のモトクロスライダーがマシンの整備をしていた。現役のモトクロスライダーと話をすることは10数年ぶりぐらいだったので、その時初めて新井さんと話をした。新井選手と話しながら感じたのは、競走相手との彼我の技量比較もよく分析しており、自分の欠点が何かを理解していた。往々にしてトップライダーの欠点はマシンの問題点を羅列する選手が多い中で、新井選手はマシンの問題より自身の及ばない点を先ず述べた。控えめで優しさが滲み出ているのが気になったが、それよりも自分の及ばぬ点が分かっている印象で冷静に自分を評価できる選手だと好印象を受けた覚えがある。

これも十数年以上前の事だが、元モトクロスのワークスライダーで、今も後進の指導にも当たっているライダーがこんな事を言っていた。
「モトクロスレースに転倒はつきものであるが、転倒に至るまでの状況や転倒時のリカバリーの容易さが以前にくらべ複雑化しているかもしれない。同じレーストラックを走る250ccクラスよりも、450ccを使用するレースに負傷事故が多い現実も見ると、レースの過酷さもさることながら、250ccと450ccとの差、特にマシン重量や出力特性等が不可抗力発生時に高いコントロール性をライダーに要求している可能性があるかもしれない」と、あくまで推測ではあるがと言って説明してくれた。

転倒につながる要素は色々考えられるが、最近のマシンについてのみ言えば、転倒に至る寸前の取り回しは数10年前の2ストローク車に比べ重く、更にアルミフレームの剛性等々、転倒に至る経緯や転倒時の高い対応力をライダーに要求しているのだろう。記憶を辿っても、昔はこんなに多くなかったような気もするが、世界のトップだと評価されている選手が簡単に転倒怪我でシリーズ戦から離脱する、こんな状況は少なくしたいものだ、と”INJURY LIST”を見る度に思う。
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