野々池周辺散策

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Rookie Of The Year

2020-06-24 06:25:56 | モータースポーツ
 「FB:Supercross Jo Shimoda is your 250SX Rookie Of The Year 🇯🇵」 
21日に終了したAMASXの最終戦で、250東部のランキング3位となった、日本人Jo Shimoda 選手 は今年の「Rookie Of The Year」に選出された。日本人モトクロス選手が、世界最高峰と言われるAMASXで「Rookie Of The Year」に選ばれたことなど過去聞いたことはなく、多分、初めてだろうから素直に嬉しいし、彼の今後の活躍を大いに期待している。FBの「Supercross Jo Shimoda is your 250SX Rookie Of The Year 🇯🇵」に投稿されたコメント欄をよむと、多くのファンからの祝福が寄せられているので、現地でも期待されている選手なんだとわかった。

Jo Shimoda(下田丈)選手と言えば、これまでも「FIM Junior Motocross World Championship」や「Loretta Lynn's」でしばしば、その名前が登場していたので名前だけは知っている。例えば、7年前、2013年8月に行われた「FIM Junior Motocross World Championship」の結果表を見ると、65㏄クラスに名前が既にある。この時のレースは5位だった。近々のデータでは、2019年のLoretta Lynn'sレースの時にも、Jo Shimoda の名前があり、当ブログにこう書いたことがある。「2019年の米国Rocky Mountainで開催されたAMAアマチュアモトクロスナショナルレースで、カリフォルニア拠点にレース活動を続けてきた下田丈選手が大活躍しているとSNSにあったので調べると、「250 Pro Sport - Overall Finish Positions」では17位となっている。下田選手は1ヒート目が8位、2ヒート目が1位、3ヒート目がリタイヤでトータル17位。それにしても、有名なLoretta Lynn'sで日本人選手がヒートであれ優勝した事等は聞いたこともなく、全日本から脱出し米国を主戦場として戦う日本人選手が現れ、しかも大活躍している事実に些かびっくりしている」

今年の2020年、Jo Shimoda 選手は、ホンダ系の有名な「GEICO HONDA」チーム所属としてプロ契約し、「GEICO HONDA」はJeff Wardがトレーナーとして指導しているチームだが、このチーム所属ライダーとしてAMASXの「Rookie Of The Year」に選出された。次に続く全米ナショナルモトクロス選手権などでの活躍と、数年内にワークス昇格を期待している。

日本人モトクロス選手が世界の舞台で活躍した事例は、過去、世界選手権で渡辺明選手がチャンピオンになった例もあるので、大昔の日本人モトクロス選手は実力的に世界のトップクラスであったのは事実だが、ここ十数年の日本人モトクロス選手の実力は目を覆いたくなるほど惨めなものだ。毎年開催される「Motocross of Nations」の国別世界順位から言うと予選20位通過もままならず、世界のモトクロスシーンから蚊帳の外に置かれて久しく、日本GPに招聘されてくる外人選手に数秒遅れの日本人は外人選手を見て「すげぇ~」と訳のわからぬ言葉を発するのが精一杯で、欧米の上位ライダーに肉薄することもなく、そして、その結果を単純に受け入れてしまう怖さが日本側に残念ながらあるようにみえる。

唯一、こうした低迷している全日本モトクロス界を飛びだし、世界の舞台で活躍しつつあるのが、Jo Shimoda(下田丈)選手だ。下田丈選手は、「FIM Junior Motocross World Championship」や「Loretta Lynn's」等の世界的に有名な大会の場で、65㏄ミニクラスにおいて世界のキッズ達と切磋琢磨し実力を伸ばしてきた。今も昔もそうだが、米国や欧州の著名なモトクロス選手は小さい頃から世界のキッズクラスでお互いに覇を争い実力を伸ばし、やっとプロクラスで戦う場を得ても、まだ先を走る選手が大勢いる。だから、日本だけのコップの中の争いから一歩も抜出すこともしない日本人選手は、全日本選手権チャンピオンになったとして世界では全く通用しない。つまり世界の戦いは、年少の頃から戦いが既に始まっているのだから、入門クラス50~65ccクラスをもっと日本市場に浸透させ、かつ、日本の二輪企業は、このクラスに戦闘力の高いマシンを供給支援し、本当に戦える実力を付けないと、世界に通用する選手は出てこないと思う。Jo Shimoda 選手は低迷した日本から脱出し、世界中のキッズが戦うクラスで、クラス最高のマシンと評されるKTMのマシンに乗って頭角を現した。

実は、こうした危惧を何度も聞いた。例えば、日本の二輪企業が世界に羽ばたく過程で、世界を制覇したホンダ、ヤマハ、スズキがロードレース界から撤退後、モトクロスがビジネスになると気付いたスズキがオフロード市場に打って出る過程での、マシン開発の苦労話をマウンテンの吉村太一さんが「モトクロッサー開発よもやま話」に結構面白く書いている。1966年頃当時、チェコのCZ、スウェーデンのハスクバーナ車が世界のオフロード市場を席捲していたが、次第に日本メーカーに置き換わり制覇されていく過程での話。その記事の最後の一節に、「日本製モトクロッサーが最初から優秀だったのではなく、積み重ねがあり現在の地位がある。しかし、今またヨーロッパからKTMなどの逆襲が始まっている。今後のモトクロッサーがどうなっていくのか、私は興味が尽きない」と締めくくっている。 また、昔のカワサキモトクロスチームの主力ライダーだった、福本敏夫さんと四方山話をした際、彼が言うに、「日本製のミニバイクはKTMにとてもじゃないが勝てない。日本の二輪企業はKTM以上のミニバイクを開発しないと優秀な日本人モトクロスは育たないし世界から遅れてしまう」と聞いた。で、この話をモトクロスマシン開発に携わっていると思しき、ある関係者に伝えると、「打倒KTMやキッズバイクを開発して何ぼ儲かる?」となるを聞いて一瞬耳を疑い萎えてしまった。結局、その延長上に、2020年の全日本選手権からスズキ、ホンダそしてカワサキもワークス活動から撤退すると言う前代未聞の羽目に至るに結びついてしまったのかもしれない。一方、米国市場では、キッズライダーがモトクロス場に親子連れで数人集まるとレースそのもので、こういう場面を何度も見た。こうしたモトクロス環境が50年以上も変わらぬまま続いている米国市場で、たった一人で戦う 下田丈 選手の成功を願わずにはおられない。
コメント
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