野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

アジアロードレース選手権から・・・こう思った。

2013-05-29 06:38:48 | モータースポーツ

      「第2戦:インドネシア・セントゥールサーキット」
2013アジアロードレース(RR)選手権の第2戦が、5月19日(日)、インドネシア・セントゥールで開催され、両ヒートとも日本人は3位以内に入ることが出来なかった。ホンダの二輪モータースポーツ「アジアロードレース選手権」から日本人が苦戦したコメントを抜粋すると、「ライダーたちの間では、荒れた路面でギャップが多く、そのための改修工事が行われたが、セメントで補修された部分をアスファルト舗装にするという処置がさらにギャップを増やすことになり、マシンセッティングが難しくなった」とか、「小林選手:バンピーな路面になかなか対応できず、思うように走ることができなかった」と書いてあって、荒れた路面を制御できなかった日本人ライダは思うように走れず、現地ライダーの後塵を浴びた。アジアRR選手権で、日本人ライダーが3位以内に入れなかったのは、日本メーカが本格参戦した2011年のインド大会以来、2回目である。

実は、その前から日本人ライダーの実力が気になっていた。
去る、「2011年のアジアロードレース選手権9月10日~11日のオートポリス」でのこと。カワサキがファクトリ支援の形でアジアロードレース選手権に初参戦したので注目していたが、その第4戦がカワサキのホームコースのオートポリスで開催された。その第一ヒート、トップ走行のカワサキ藤原選手がマシントラブルで脱落し、直後の1コーナーで津田選手も転倒し、デチャがトップに浮上、そのままチェッカーを受けた。予選では5番手まで日本人が独占していたが、決勝の表彰台には日本人が誰もいなかった。日本人にとって、屈辱的なお粗末なレースになった。2ヒート目は、何とか日本人が勝ったものの、極めて肉薄したレースのようで、1位と3位のゴール差は0.7秒、アジア選手と日本選手とのベストラップは殆ど差なし。そして、あるブログに、第1ヒートで優勝したデチャ・クライサルトが、記者会見で、「アジアの選手と日本の選手との違いは何?」との質問に対し、「日本人と技術的な差は無いね。まったく引けを取る事は無いよ。あえて言うならば、日本人選手の方がマシンが良い。あと、ここは彼らの地元だから、地の利があるよ」もう彼らの心の中には、日本人との技量ギャップは全くないと言いきっている。オートポリスと言えばカワサキのホームコースで、極めて程度よく整備されているコース、ここで日本人が勝てないことがある。・・・となると、いずれ、アジア選手権はアジア出身選手によって席捲される日が近く、彼らの中から世界に出る選手が出てくる日も遠くないと思わせる出来事だった。今年のセンチュールの結果はその流れの中に入ってしまったことを感じざるを得ない。

アジアロードレース選手権にカワサキが本格支援したのが2011年、その年のチャンピオンはカワサキの藤原選手、そして昨年2012年にホンダも本格支援体制を敷き、昨年のチャンピオンはホンダの清成選手だった。今年2013年はカワサキ、ホンダとも支援体制を継続し、現地ライダーの台頭もあって中々面白い。
WebIkeの「アジアロードレース選手権」が熱い!」に、アジアRR選手権を上手く解説している。昨年の記事だがアジアロードレース事情のことが分かり易い。 『・・・略・・、ご存じのように、清成や藤原はこれまで、WSBなど世界の大舞台で戦ってきた日本を代表するトップライダーである。 彼らの活躍はもちろん嬉しいことだが、正直なところ「何故アジアなの?」といまひとつピンとこない人も多いのでは。 だが今の時代、世界経済はアジアを中心に回っていると言っても過言ではない。 2輪ビジネスに関してもそれは例外ではなく、国産メーカーも国内や欧州ではなく今やアジアで稼いでいる状態だ。 そのメインマーケットが125cc~250ccクラスの小排気量クラスであり、かつての日本がそうだったようにレースの成績がセールスに直結するという図式がある。 それを物語るように、最近は東南アジアや中国でもスポーツモデルの人気が高まっているという。 そして、いつの時代でもモータースポーツにはお金がかかる。レース界でも今後は、アジアンマネーをうまく呼び寄せた者が勝者になるのかもしれない。 もうひとつ、忘れてならないのはアジアンライダーの成長ぶりだ。今回、SS600レース1で2位をゲットしたのは、マレーシア人のアズラン・シャ―・カマルザワンで、 ポールポジションも獲得している。ゴール直前で辛くも逃げ切った清成も「アズランからのプレッシャーがすごかった、特に、レース最終周はすごかった。 熱いバトルにこの気温の暑さが加わり……。今日の結果には正直うれしく思う」と語っているように、世界を知るトップライダーでも簡単に勝てるレベルではないことがうかがえる。 そう言えば、全日本ST600でも現在、ポイントランキングでトップに立っているのは、ヤマハ・タイランド・レーシングから参戦しているタイ人ライダーのデチャ・クライサーだ。 これまでは、全日本選手権で頭角を表したヤングブラッドたちが、メーカーの目にとまって一足飛びに世界に羽ばたくパターンが多かったが、 今後は「まずはアジアで名を上げてから」というステップが本流になるかもしれない。』・・・このような目でアジアの二輪モータスポーツを見ているジャーナリストもいる。


二輪ビジネスも言うに及ばず、世界では早くからグローバリゼーションの波が押し寄せ、アジア諸国との関係を抜きには語れなくなっている。しかし、二輪ロードレースの世界では、ほんの数年前まで技術もマシンもアジアと世界の中枢では大きな格差があった。
それが、この数年で、恐ろしいほどのレベル向上を果たし、ついに、日本人トップライダー達を相手に互角に戦い完全なる勝利を果たす時代になった。近い将来、アジアの選手が活躍する場は世界に移り、そして、世界と対等に戦う日も遠くない事を予感させる事をアジアRR選手権から読み取れる。ところで、カワサキがアジアレースに参入した2011年、当時のレース結果表からアジアロードレース選手権に出場しているヤマハ台数が多いのにビックリした事を覚えている。当時、ヤマハファクトリーは世界スーパーバイク選手権から撤退し、ヤマハはレース界から撤退するのではないかと案じていたが、ところがどっこい、参戦レースの選択と集中を徹底し、二輪事業の有望市場アジアにはしっかりと種を蒔いていた。それがアジアの二輪ユーザーの購買意欲に大きく影響すると判断したからだろう。・・・さすがだ。1500万台~2000万台市場にならんとする東南アジアの二輪市場で、モータースポーツは自社ブランド構築の絶好の機会と判断したに違いない。

アジア選手権のメインレースは600ccだが、東南アジアの主市場は110~130ccアンダーボーン車。
この市場で65%以上のシェアを確保しているのはホンダ、このホンダの市場にヤマハが挑んできた歴史がある。大多数の二輪ユーザーはレースに出場することなど皆無だが、二輪レースに参戦することでブランド訴求するやり方は二輪企業が昔から取ってきた戦法。まだまだ伸長するアジア市場にどのような形で拡販していくか、600に加えアンダーボーンは魅力ある素材に思えて面白そうだ。

2013年のアジアロードレース選手権の次戦はインド。インド二輪市場についての日経に面白い記事があった。
ヤマハ発が連日で高値更新 インド拡販を好感、過熱指摘も」の記事だが、「ヤマハがインドの各都市で合計で1000万人規模を対象とした試乗会を開催するほか、 低価格帯の新製品を相次ぎ投入する」と報じた。たったこれだけの記事がヤマハ株を高値更新に押し上げている。インドは昨年中国を抜き二輪の販売台数で世界最大の市場となったが、シェアは現在2%強にとどまっているという。ヤマハはインド市場に早くから参入してきたが、まだまだやり方次第では利益を生み出すと言うことを市場は評価した。
アジアの二輪は奥が深く魅力的な市場で、二輪事業は経営者の手腕によっては幾らでも、どうにでも伸長する要素はまだまだあるものだと痛感した。アジアロードレース選手権はアジアの魅力のホンのその一例で、まだまだアジアの懐は深く、興味を持たせてくれる市場だ。


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