米国の有名なオフロード専門誌 「motocross action」 が選ぶ2012モトクロスマシンの戦闘力評価がHPに公表され、
250ccクラス、450ccクラスともカワサキが最優秀マシンとして選出された。
アメリカのオフロード専門誌はオフロードの本場だけあって多くの専門誌が発行されており、書店は勿論のことコンビニ、酒屋でも購入できる。
昔、現役時の渡米時は、帰りの空港売店で購入し、飛行機の上での暇つぶしに読んでいた。
多くある専門誌の中でも、「motocross action」誌や「Dirt Bike」誌のモトクロスマシン評価が市場に与える影響は無視できない程大きかったので、
新車が発売されると何時も気になっていた。
■「MXA’S 2012 250 FOUR-STROKE SHOOTOUT」
一位: Kawasaki KX250F
「KX250Fは過去7年間,250cc4ストモトクッサーのSHOOTOUT(試乗評価)にて、5回もNO1の地位を獲得した。
エンジン性能とサスペンションが極めて有機的にチューニングされており、ライダーが要求する性能にレスポンス良く応答する優れたマシン。
初心者からプロクラスライダー至る、どのクラスのライダーにも最適なマシンである」、との最大級の評価が記載されている。
「カワサキ KX250F」
■「MXA'S 2012 450 SHOOTOUT 」
一位: Kawasaki KX450F
「N01はカワサキのKX450Fだ。
2006年にKX450Fが投入されて以来、カワサキ技術陣は勝つために毎年改良を続けており、
2009年に続いて450ccクラスSHOOTOUTにてNO1を獲得した。
450ccクラスはMXレースの最高クラスで、各社とも最大の力を投入するため毎年激戦区となっており、NO1を維持するのは相当な努力が必要」
カワサキ開発陣の勝利との評価である。
「カワサキ KX450F」
競争用に開発されたモトクロスマシンの評価は、スキルの異なる複数の評価ライダーによって最も競争力に優れたマシンを選出することである。
スーパークロスやアウトドアのモトクロスレースに供与されるので、SHOOTOUT評価にて優秀マシンとして認知されることが販売に大きく影響する。
空戦時の戦闘機と同様に、戦闘力に劣るマシンは極端に言えばガラクタとされる危険性さえある。
従って、実戦を経験し、彼我の比較をしながら自車の立ち位置を確認して開発していくのだが、
例えば、一年でも開発を休めば、その期間だけ他社マシンとの競争力差が大きく開き、それから再起するのは至難の事。
このために、常に競争相手の動向を掴んでおく必要がある。
レース毎、そして毎年勝負に晒され続けるが、競争相手も条件は同じなので、
気候不順だったから勝てなかったとか理由にもならず開発担当者には辛いものがあるが、しようがない。
だから、この苦労が分かるだけに、高い評価を受けた記事が出ると、OBの一人として我が事のように単純に嬉しい。
一方、マシン評価が高いだけでは、あくまで競争に勝つための一条件をクリアしただけに過ぎない。
実戦で勝つには、ライダーにも高いスキルが要求されることは勿論で、ライダーの能力を十分に引き出すためのマシンセッテイング技量も必要となる。
従って、勝つための組織総合力を発揮しないと、ポテンシャルの高いマシンを開発出来たとしても実戦で勝つことは困難となる。
つまり、マシン所謂ハードと同様にソフト開発力を育成し、広く末端ユーザーに教育や指導をしておく必要性が生じることになる。
ソフト開発能力を組織内に蓄積出来ているか否かは勝利に大きく影響する。
ここが一般的なオンロード市販車開発とは大きく異なる点だろう。
何れにしても、米国でのカワサキ車の戦闘力は実戦で証明されているだけに、その優秀性には説得力がある。