しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

小三の春⑪火の玉

2019年01月26日 | 城見小・他校
ヒトダマ
近所のゆりちゃんは二歳年上の女の子だった。
ゆりちゃんの家は、横の道から墓場がよく見える場所だった。
「昨日の夕方、墓の上をヒトダマが飛んどった」と見た事を話す。
その話を聞くたびに、自分もヒトダマが飛んでいるのを見てみたい、と思った。

ヒトダマを見たのは、ゆりちゃんだけでなかった。
普通に生活をしていれば、1~2度くらいは出くわすのがヒトダマだと思っていた。
夏の幽霊映画にも、必ずヒトダマは飛んでいた。


------------------------------------------------------------
「旭町誌」 平成9年 旭町発行より転記する。

火の玉
火の玉は、鬼火とかヒトダマ(人魂)とも呼ばれている。
燐化水素だ、夜光虫だ等々諸説があるが、実際に見た人は少ないようで、話が一人歩きしている感が強い。
古来死んだ人のからだから離れた魂のこととされ、火の玉が飛んだので誰かが死んだとか、死ぬる前に火の玉が飛んだのを見たとか、新墓ができて火の玉が飛んだとかいろいろな話が伝わる。


------------------------------------------------------------
管理人記・
人が死んで土葬が無くなる頃、幽霊もヒトダマの話もなくなった。その類のことはオバケに変わった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小三の春⑩新国道(2号線)の工事が始まった

2019年01月26日 | 城見小・他校
よその町へ行くことはほとんどないので知らないが、「大門~笠岡」間の道はいちばん悪い、という話はよく聞いていた。
たしかに道は狭く、路面はでこぼこだった。
しかし、いちおうバスが通れる幅はあった。
・・・・・・・
国道二号線の工事が始まった。
城見地区では、大冝と用之江のうち、茂平入口から県境までが既存のバス道とかぶったが、それ以外は田んぼや山を掘ったり,盛ったり、崩したりした新しい道づくりだった。

小学校には、その新国道工事を横断しないと行けなかった。
工事には「ショベルカー」と呼ばれる見た事もない大きな移動式の機械が一台か二台使われていた。
学校への行き返り、立ちどまり、ショベルカーの動きを見るのが日課だった。

土木作業員の宿舎が林の中で、半分崩れかけていた、旧隔離病棟が使われた。
そこには家族持ちも入居し、幼い子供たちが遊んでいた。
幼児たちは買ってもらったオモチャの刀を腰に下げていた。
その頃の茂平の子供は、棒切れを刀にして遊んでいた。

宿舎の子供の刀を見ながら、うらやましいような、またうらやましくないような気になりながら家に帰っていた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

山陽新幹線や山陽道の工事では、用地買収で成金と呼ばれるほどの地主が何人もでたが
古い事とは言え、新国道の工事では、その類の話を聞いたことが無い。
まだ日本は貧しかったから、安い売買だったのだろうな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする