しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

猪の肉は,一番美味しい

2019年01月17日 | 暮らし
「動物民族」長澤武著 2005年・法政大学出版局発行より転記。

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イノシシ
味は甘く濃厚で、「山くじら」と呼ばれるほどの美味。
焼肉とするほか味噌を入れた「しし鍋」が一般的。
この肉を「ぼたん」と呼ぶのは、馬肉の「さくら」に対しての民間の言葉。
獣肉の中で一番美味とされる。


カモシカ
食べると温まるので夜尿症の子や、冷え性の婦人によいといわれた。
特に晩秋の肉が美味で「木の葉肉」と呼んだ。
煮て食べるのが一般的だが、味噌漬け・塩漬けで保存したり、塩ゆでして干して非常食として愛用した。

シカ
味が淡白で「刺身」が一番と言われ、特に11月ごろの雄鹿の背肉は、マグロのトロより美味いといわれている。
普段はすき焼きにして食べる。

クマ
ツキノワグマは肉よりも、高価な肝や毛皮が目的で捕獲が行われてきた。
肉は参加者で分配や、煮て近所の人に食べさせたり、塩漬け・味噌漬けにして保存した。
肉の他、肝臓・心臓・腎臓・足の裏まで捨てるところなく利用した(食べた)。

ノウサギ
農山村の家の近くの野山に数多く生息し、素人にも捕獲しやすかった。
一番庶民の口にした肉だった。
昭和40年頃から寄生虫病が流行り、数は急激に減っていったし、この頃から日本の農山村の食生活も豊かになり、ノウサギを食べる習慣もなくなった。

タヌキとアナグマ
昔から「タヌキ汁」という言葉は知られているが、食べたことのある人は少なく、「こんな臭くてまずいものはない」と言って、二度と食べなくなる。
ところが姿勢が似ているアナグマの肉は、脂肪分が多く、煮ても美味である。
どうやら昔から言うタヌキ汁は「アナグマ汁」を都会人か文人か広めたようで、とんでもない間違いである。


コメント
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