
ボルチモア インナーハーバーに停泊展示されている帆船
→4:アセラ・エクスプレスとA列車で行こう!からの続き
NYからアムトラックの高速列車アセラ・エクスプレスに乗って2時間余りで到着するボルチモアは、アメリカ合衆国首都のワシントンDCに程近い港街。
アメリカでも最も古くから存在する文字通りの“古都”で、長い歴史と港街ならではの多彩な文化を持つ。
そんな“古都”ボルチモアも産業の衰退により治安が悪化して危険で荒んだ街となっていたそうだが、近年では港地区インナーハーバーの再開発が大々的に行われ、活気を取り戻したと言われている。

ボルチモア・ペンシルバニア駅(通称ペン駅)からLRT(ライトレール)の路面電車に乗って、やって来たのはカムデンヤード駅。
大リーグのボルチモア・オリオールズの本拠地である野球場の真横にあるこの駅で降りて、野球場とは反対側の方角に向かって歩いて行くとインナーハーバー地区だ。
…という訳で、インナーハーバー地区を散策してみるが、生憎のどんよりとした曇り空。


…かと思うと急に天候が回復して、青空が広がった。
さすが港街だけあって、海の天気は変わりやすい?
インナーハーバー地区で海を眺めたり、シーフードレストランで名物の蟹料理「クラブケーキ」に舌鼓を打つのも良いが、ボルチモアに来たら是非とも行ってみたい場所が郊外にある。

B&O鉄道博物館だ!
アメリカ最古の鉄道会社ボルチモア&オハイオ鉄道(B&O鉄道)によって建設された機関庫を改修したB&O鉄道博物館。
この機関庫のある場所は「アメリカの鉄道発祥の地」とされているそうで、名実ともにアメリカの鉄道の聖地である。

巨大な円形の機関庫内には、アメリカの鉄道史に輝く名車たちがずらりと勢揃い。

B&O鉄道初期の頃のものと思われる古典車輌。鉄道というより馬車に近い雰囲気。

アメリカの「1号機関車」がいた。
円形機関庫以外にも、B&O鉄道博物館の広大な敷地内には整備工場の建屋もあり、大型の蒸気機関車たちがぎっしりつめ込まれて展示されていた。

居並ぶ蒸気機関車たちの中でも一際目を引いたのが、このド派手な機関車!
流線型スタイルに真っ黄色をまとったボイラーとギラギラのステンレス無地の組み合わせというイカした、いやイカれて常軌を逸したブッ飛んだデザイン!
なんなんだコイツは!?
1920-30年代の流線型ブームに乗って登場した機関車らしいのだが、なんというか…いかにもアメリカらしい機関車だ。まさに全盛期のド派手なアメ車をそのままSLにしたようじゃないか!
…でも、車体が煤煙で汚れたら清掃するのが大変だったろうなぁ(笑)
そして、整備工場の片隅にひっそりと佇んでいたこの機関車…


解説板には“Mikado”とある。
Mikadoとは日本の天皇(帝=ミカド)のことで、車輪配置が1D1(2-8-2)の蒸気機関車がアメリカから日本に初めて輸出される際にメーカーが「ミカドの国への機関車だから」という理由で命名したのが由来だ。
ミカド型の蒸気機関車はその後、日本国内でも標準的な貨物列車牽引用機として盛んに製造されるようになり、デゴイチことD51もミカド型である。
また、第二次大戦中はアメリカでは敵国に関する愛称だとしてMikadoという呼び方が禁じられたが、鉄道会社の現場では変わらずMikadoまたは親しみを込めてMikeと呼ばれ続けたという…

アメリカの鉄道の聖地で見つけた、アメリカと日本の鉄道との意外な関わりと秘められた歴史に想いを馳せつつ、B&O鉄道博物館とボルチモアの街を後にした。
…さぁ、そろそろNYに戻ろうか。
→6:NYマンハッタン街歩きに続く
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