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苫小牧のミールを見てきました

2018-08-26 | 宇宙

夏休みに北海道の苫小牧市にあるミールを見てきました。

苫小牧市科学センターのミール展示館に収蔵展示されている旧ソ連の宇宙ステーション「ミール」
1986年に打上げられ2001年まで地球を周回していたミールのバックアップとして作られ、その後は地上訓練に使用された“予備機”(※)とされています。
しかしソ連崩壊直前の経済混乱で国外に流出・売却され、その後苫小牧市の建設会社が購入して寄贈されました
(※バックアップ用の予備機ではなく、宇宙で使用される能力を持たないモックアップ(模型)であるという情報もあります)



苫小牧市科学センターへはJR苫小牧駅から歩いて20分ほど。
8月中旬とはいえ大雪山系への初冠雪もあり秋の訪れの早い今年の北海道、太平洋からの海風が冷たく吹き付ける苫小牧市街を歩くと涼しいというより最早寒い…





夏の終わりの寒さに縮こまりながらやってきた苫小牧市科学センター。
ここに来るのはちょうど10年ぶりです。懐かしいなぁ…
(→SAVE OUR SHIP ~ミール、懐かしき宇宙船。苫小牧~ 天燈茶房TENDANCAFE 2008年08月31日


苫小牧市科学センターの玄関先ではL(ラムダ)-4Sロケットがお出迎え。
ご存知日本初の人工衛星「おおすみ」を打上げたロケットですが、実はこれ雨樋を兼用したオブジェらしい…


年代物の日時計。
台座に刻まれている鶴丸デパートとはかつて苫小牧市内で営業していた現存しない老舗の百貨店。


旧ソ連の宇宙ステーション・ミールを展示しているのに、なぜか案内看板にはアメリカのスペースシャトルのイラストが(笑)
しかもスペースシャトル初号機の「コロンビア」だ。


昭和44年竣工のちょっとレトロな苫小牧市科学センターの館内には、五藤光学研究所製の古典プラネタリウム投影機S-3が展示されています。
五藤光学研究所の公式サイトによると1969年に苫小牧市青少年センターに納入され、1990年まで使用されていたとのこと。


こちらは1990年から現在まで使用されているプラネタリウム投影機、先代と同じく五藤光学研究所製のGX-AT





苫小牧市科学センター館内にはいたるところにミールの姿が。
ただしミール展示館は本館とは別棟の新館になります(本館とつながっているのでそのままミール展示館と行き来することも出来ます)。







ミール展示館の前庭には蒸気機関車C11の姿も。
やはり宇宙と鉄道は相性が良い模様。


ミール展示館外観。
最近リノベーションされたらしく、以前はなかった太陽電池パネルがあります。
この太陽電池パネルが円筒形のミール本体を象った看板と共にミールの宇宙空間での姿を現している、遊び心のある演出になっています。




苫小牧市科学センター本館とミール展示館を隔てる壁面一杯に描かれた宇宙開発史とミールの解説パネル。


そして解説パネル側面の入り口から入ると見えるミールの全景!
展示館のフロア一杯にミールが収まっているので、全体を見渡せるのはここからだけです。


間近から見るミール。ミールのコアモジュール部の全長は約13m、巨大です…


天体物理観測モジュール「クバント」とコアモジュールのドッキング部。
コアモジュール部とクバントを結ぶ直線方向の両端ドッキングポートに地球往還用のソユーズ宇宙船がドッキングし、さらにコアモジュール部右端のドッキングポートに各実験モジュールが直角方向にドッキングして宇宙ステーション「ミール」が完成する構成になっています。
ちなみに、苫小牧市科学センターで展示されているこの「クバント」モジュールは予備機等ではなく、どうやら展示用に作られたモックアップ(模型)らしい。


「クバント」モジュールのドッキングポート。ここにソユーズ宇宙船がドッキングします。
ソユーズ宇宙船と宇宙ステーションのドッキングは、地球周回軌道上からミールが無くなった現在も引き続き国際宇宙ステーション(ISS)で日常的に行われています。




コアモジュール側面に折り畳んで収納された太陽電池パドルと、ソ連の宇宙機ではお馴染みの円錐形アンテナ。ドリルではない(笑)


コアモジュール先端部のドッキングポート。クバントとを結ぶ直線上にあるポートにはソユーズ宇宙船が、直角方向にあるポートには各実験モジュールがドッキングします。
実験モジュールをドッキングさせる際にも一旦は正面側のソユーズ宇宙船が使うポートにドッキングして、それからポートの中間に設置されているマニピュレーターにアームを挿して支点として側面に移動させるという作業を行っていたそうです。




ドッキングポートを間近から。
モジュールを連結結合して固定する爪が案外小さい。また、ドッキングと同時に接続されるコネクタの非常に小さい端子が見えますが、こんな細かなものが宇宙空間で自動的に接続出来たというのは驚きです。端子のいくつかがうまく穴位置が合わずに壊れて折れたりしなかったのかなぁ…


ミール船内から見たドッキングポート。
手前の操縦席は左右で全く同じものが一対設置されています。操縦席の手前側はそのまま食堂兼居住区になっていて、ミール船内の狭さを実感出来ます。
実際には無重力状態だとそれほど狭さが気にならないというけれど、こんな狭い空間に大の大人が3人で半年間も暮らしたのは本当に大変だったでしょうね。


ちなみに、これが苫小牧市科学センターのミール展示館で一番新しい展示品。
数年前にNHKが、1997年にミールで起きた火災と酸素発生装置の故障を再現したドラマの製作のために苫小牧のミールで撮影に使用した非常用酸素発生装置の模型。


現在確認されている、苫小牧以外に存在する世界中のミールの一覧。
モスクワの宇宙飛行士記念博物館のミールは、今度の年末年始にモスクワに行くので実際に見られるな…


ミール展示館で配布されていたガイドブック。
手作りのガイドブックですが、非常に充実した内容で参考になります(苫小牧市科学センターの公式サイトでPDFが無料配布されています)。
展示館の職員の方もとても熱心で、ふらりと訪れた見学者にも丁寧に対応して下さり感謝です!

皆さんも是非、奇跡的に日本国内に存在する“本物のミール”を見に行って下さい。
苫小牧市科学センターの開館日なら、いつでも会えますよ!


1 コメント

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Unknown (通りがかり)
2019-07-27 15:05:06
正しい情報を書いておきますね。ミール本体(コアモジュール)は本物の代替え機です。本物だからそのまま宇宙で使えるものです。先っちょの小さなクバント(天体観察モジュール)”だけ”がモックアップです。”苫小牧のはモック”という情報は後者だけを切り取ったある意味デマです。つまり、安心してください。本物です(笑)
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