
←その15:フィレンツェ散歩。花の聖母教会、ヴェッキオ橋からの続き
ヴェッキオ橋から程近いアルノ川の岸辺に、その博物館はあります。

museo galileo、ガリレオ博物館です!
2010年までは単に科学史博物館と称していたようですが、現在はフィレンツェで暮らしていた事もある地元ゆかりの偉人ガリレオ・ガリレイの功績を讃えその名を冠した博物館となっています。
ガリレオの足跡を追う今回の我々の旅で、ここが最も重要な訪問地です。
ガリレオの聖地である彼の博物館を、大晦日の午後一杯かけてじっくりと見学しました。




館内にはガリレオの時代からの歴史的な科学実験器具が並び、専門知識が無くても科学好きなら見ているだけで心躍ります。
数多い展示物の中でも、一際目を引いていたのが…

展示ホールの中央に鎮座まします、美しく巨大な渾天儀(天球儀)。
天動説に基づく宇宙モデルを表す原始的なプラネタリウムである渾天儀としては世界最大級のもので、16世紀の終わりにフィレンツェの天文学者アントニオ・サントゥッチにより製作されたもの。


渾天儀の構造体の、あまりの美しさと不思議さに思わず引きこまれてしまいそう…
カール・ツァイスのプラネタリウム投影装置にも通じる、不可思議な世界へと通じている謎めいた機械の魅力が漂っています。

…ガリレオ博物館なのにガリレオの説いた地動説と真っ向から対立する天動説の渾天儀の美しさに感嘆してしまいましたが、もちろんガリレオが天体観測に用いた屈折望遠鏡の数々も展示されています。




さらに、天文学と並んでガリレオの名声の一つである物理学の落体の法則を証明した、球を斜めに転がす実験装置も。

ガリレオの落体の法則の証明といえばピサの斜塔の上から球を落としたという実験があまりにも有名ですが、これはガリレオの死後に弟子が創作した出来事で実際にはピサの斜塔の実験は行われておらず、ガリレオ自身はこの斜めに球を転がす実験で落体の法則を証明したというのが近年の定説です。
…まぁ、有名な歴史的建造物であるピサの斜塔で大科学者が世紀の実験を行った、とするほうがよりドラマチックですし、偉大な先生をより格好良く描きたいという弟子の想いが生んだ創作劇なのでしょうが、ガリレオが弟子から大いに慕われていたということがよく伝わってくるエピソードではありますね。
地動説の「ガリレオモデル」による太陽系模型の古典プラネタリウムもありました。


ちゃんと木星の「ガリレオ衛星」も回っていますよ…あれ?よく見たら3つしか無いな。
土星にも衛星がたくさん回っていますねぇ。生命に必要な要素が全て揃っていることが分かって今話題になっているエンケラドゥスはどれかな?



…かくして、ガリレオ・ガリレイのみならず中世以降からの科学研究史の全てを網羅していたフィレンツェのガリレオ博物館を満喫しました!
博物館の外に出ると、大晦日の夕暮れ時です。今年はガリレオと科学の偉大な歴史に浸りつつ、一年を終えることになりそうです…
夕暮れまでには、まだ少し時間があります。Leonaさんの提案で、フィレンツェの街を見下ろす丘に登って夕陽を眺めることにしました。
→その17:フィレンツェ散歩。ミケランジェロ広場からの眺めに続く
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