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久保田孝先生講演会 『太陽系誕生の謎を探る「はやぶさ」』を聴く

2011-11-16 | 宇宙

平成23年11月13日(日曜日)
僕の地元・熊本県八代市で小惑星探査機「はやぶさ」関連の講演会が開催されました。
地元での宇宙関係の講演会は非常に珍しいこと。
(しかも、先週の「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH-」の上坂浩光監督の講演会に引き続いて2週連続開催となります。)
勿論、聴きに行って来ました!


会場の八代市厚生会館
千人以上を収容できる、かなり大きなホールでの講演会となります。



入り口には、こんな掲示が…


そう!
実は今日は、的川泰宣先生が講演される予定でしたが、
先生の急病のために急遽講師変更となったのです。

的川先生は、御過労で絶対安静とのこと。
今日は的川先生に久しぶりにお会いできるのを楽しみにしていたのですが、今は先生のお身体が一番大事です。
しっかりと休まれて、また元気なお姿を見せて下さることをお祈りしております。


的川先生に代わって壇上に立たれたのは、
JAXA宇宙科学研究所の宇宙探査工学研究系教授、久保田孝先生
「はやぶさ」には構想段階から19年間に渡って携わられたとのこと、これは面白いお話が聴けそうです!

(以下、講演レポート)

久保田先生の自己紹介。「はやぶさ」には設計・開発・運用に関わった。
地球帰還を確信していた。昨年は、オーストラリアのウーメラ砂漠に出迎えに行った。

★「はやぶさ」は何をしたかったのか?(1985年からの小惑星サンプルリターン計画のプロジェクト内容説明)

★イトカワはとても小さな小惑星。NASAの関係者からは「初めての小惑星探査で、そんな小さなターゲット天体に行けるなんて」と羨ましがられた。

★日本の持っているロケットでも行ける小惑星を見つけたこと。これが大きい意味を持つ!
小惑星イトカワの軌道が解ったのは1998年。

★そして、10倍燃費の良いイオンエンジンの存在があった。

イトカワを捉えた光学航法の「実演」も。
ホール壇上スクリーンに「はやぶさ」のスタートラッカが捉えたイトカワ写真を連続投影して、星空の中を移動するイトカワの光点に聴衆からはどよめきが。
「この写真を撮った時、イトカワが移動する様子がわかって本当にホッとした。
もし移動する光点が写っていなかったら、『はやぶさ』はあらぬ方向に向かって飛んでいるか、奇跡的にイトカワ目指して真っ直ぐ一直線に飛行していることになる。」
「イトカワを捉えたら、後は簡単。イトカワの光点が真ん中で動かなくなるように位置を定めて『はやぶさ』を導いてやればよかった。」

★地球帰還時の「ファイナルショット」。
同僚が徹夜でスミアを取って修正した画像を、元画像と並べてネットに公開したが、閲覧者の90%はスミアの入った元画像の方をダウンロードしたようだ(笑)

最後に、「はやぶさ」地球帰還の大気圏再突入動画紹介。
(もはや見慣れた映像だが、「おおー!」「うわー」と会場から声が上がる。やはり映像の力は大きい。今月末の熊本博物館でのカプセル展示もしっかり紹介下さいました。)

★ウーメラ砂漠のカプセル発見地点はアボリジニの土地(聖地)なので、許可を得て入った。男性しか入れない場所、女性しか入れない場所などもあり気を遣った。

質疑応答

Q:(先週、上坂浩光監督講演会を開催した熊本高専八代キャンパスの生徒さんからの質問)はやぶさプロジェクトでのスタッフ同士の「話し合い」で心がけていることは?
A:みんなで我慢して、みんなで解決を心がけた。
例えば、探査機重量を530キロから510キロに減量したいが、みんななかなか協力してくれようとしない。でも、一致団結して解決せねばということで、4つ積む筈だったリアクションホイールを1つ減らして減量を達成した。このことで、後で随分後悔することになったが…(リアクションホイールはその後2つ故障した)
また、イオンエンジン班は緊急運用での姿勢制御用にキセノンの生ガスを使いたがらなかったが、協力してもらった。
イトカワへのタッチダウン時も、2回目のタッチダウンまで準備期間に10日は欲しいと思っていたが川口プロジェクトマネージャは「でも、マスコミに言っちゃったから…」と時間をくれない(笑)(※結局、6日後に2回目のタッチダウンが実施された)
川口先生は「2回目のタッチダウンがダメなら、3回目も…」と考えていたようだ。

僕も質問しました。
Q:「はやぶさ」はタッチダウン時には、ターゲットマーカからどの程度の距離に降りることになるのか?
具体的には、「はやぶさ2」では火工品を用いて小惑星表面を爆破してクレーター内への着陸を目指すと思うが、クレーター内に狙って降りられるのですか?
A:最後はターゲットマーカを直接見ないで降りることになるので、数メートルから10メートルの誤差がある
でも科学者は「直径2mのクレーターの中に降ろせ」と言っている。

※どうやら、クレーターそのものよりは周囲に飛散した物質の上に降りるようなイメージとなるようです

以上、とてもわかりやすく、そして熱意の感じられる素晴らしい講演でした。
久保田孝先生、ありがとうございました!
的川泰宣先生、お元気になられたら是非また八代にお話に来て下さいね。



さて、11月の熊本県は宇宙が熱い! 今度の週末(11月19日)は熊本博物館にて「宇宙学校・くまもと」が開催されます。
勿論、僕も宇宙クラスタ九州支部の仲間たちと一緒に参加しますよ~!


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