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出雲去り、飛鳥来る

2006-03-14 | 鉄道
上京した理由はこれ。
来週、3月18日のJRダイヤ改正で姿を消すブルートレイン「出雲」。
その最後の姿を一目、見ておきたかったのだ。
上京後、都内で1泊してから早朝に横浜駅で「出雲」を待つ。
「出雲」を牽いて来るのはJR東日本の機関車EF65-1000。
かつて、ブルートレイン全盛期の昭和50年に造られ(僕と同い年だ)、ブルトレの最高峰だった「東京発九州・山陽・山陰行き列車」を率いて華々しい活躍をした栄光の機関車である。
昭和50年代の子供向けの鉄道本には必ずヘッドマークを掲げて最新鋭の「24系25型客車」の先頭に立ち富士山をバックに疾走する「65PF(鉄道好きはこう呼びたがる)」の写真が表紙を飾っていたものだ。
その65PFも今ではヘッドマークを掲げて東京駅に発着するのはこの「出雲」運用だけ、それも来週消えてしまうので東海道本線からその雄姿が消える事になる。
我々昭和50年代前半生まれの鉄道好きにとって最高のヒーローだった「ヘッドマークを輝かせてブルトレをエスコートする機関車65PF」、その最期の輝きを、是非見ておきたかった、記憶に刻み付けたかったのだ。
早朝の横浜駅に颯爽と現れた「出雲」を牽く65PFは登場から30年近く経った今でも艶やかで深い紺のダークスーツに身を包んだダンディぶりは健在で、「出雲」の有終の美を飾るのに相応しい名役者振りを見せ付けてくれた、魅了してくれた。

さようなら、そしてありがとう。EF65-1000番台と24系25型客車。日本のプリマドンナ、山陰の夜の女王、ブルートレイン「出雲」。

「出雲」を見送った後、駅前で朝食を済ませてからバスで横浜港の大桟橋に移動。
次のターゲットはこれ。

ドイツの豪華客船「アマデア」(写真右手前側)。
そして入港してくるのは日本郵船の豪華客船「飛鳥Ⅱ」。

「アマデア」は数日前までは日本郵船所有で「飛鳥」を名乗っていた。
後輩の「飛鳥Ⅱ」就役と同時にドイツに売却されて横浜港ドックで改装後「アマデア」と改名、今日横浜港大桟橋で命名式が行われ新しい人生をスタートさせたのだが、奇しくも同じ日に同じ横浜港大桟橋に試験航行を終えた後輩の「飛鳥Ⅱ」が入港、新旧の「飛鳥」が顔を揃えたのである。
両船のプロモーションを兼ねた「お約束企画」なのだが、流石豪華客船を運用する会社だ、なかなか心憎い演出である。


しかし、「飛鳥Ⅱ」はでかい!
横に並んだ「飛鳥Ⅰ」こと「アマデア」よりも二周りは大きい。
巨大な白亜のビルが海上をゆっくりと近づいてくるようだ。その巨体が目の前でゆっくりゆっくり旋回する。途中、まるで「どうだい、どうだい!」と言わんばかりに真横を向いて停止したりする。結局、40分以上かけて大桟橋に横付けした。

「アマデア」は「飛鳥Ⅰ」時代に何度もチャータークルーズで僕の地元熊本県の八代外港に入港している。僕も一昨年、外港で「飛鳥Ⅰ」に会っている。しかしドイツの船となった以上、日本の弩田舎の八代にはもう二度と来ることはないだろう。
しかし「飛鳥Ⅱ」とはいずれ地元で再会できるかもしれない。

走り去るブルートレイン「出雲」、新天地へ旅立つ「アマデア」、新しい旅へと船出する「飛鳥Ⅱ」。
3つの美しい名優達が束の間、早春の横浜に集った。乗り物好きの儚い白昼夢のような一日だった。