大阪鋼巴球迷的博客(だあばんがんばあちうみいだぼーくぉ)

熱烈なるガンバ大阪サポの筆者が、世界で最も多くサッカーファン人口を持つ中国にガンバの名前を広めんと日中二ヶ国語で発信する

今年の中超視察を終えて-中国サッカーに必要な戦略とは?

2010-08-26 23:23:24 | 中国サッカー
大連、瀋陽、ハルビンと廻って昨日帰国しましたけども、なかなかいい避暑の旅ではありました。そして恒例の中超視察も有意義なものではあった。

残念なのは瀋陽からハルビンまで移動する飛行機の中で遼寧宏運のジャイキリがスルーされていたということか。まあ、瀋陽にはもう一つ下のカテゴリーのチームがあってあちらは五里河の奥体中心を本拠地にしているわけだから、遼寧宏運が瀋陽に根をおろすことが出来るかはこの1,2年に掛かってくるか。なんとなく街の中心から外れているところにホームスタジアムを構えたところがガンバに似ているという気がしないでもないけども・・・

機内で読んだ遼寧日報によると、中国卓球協会の蔡振華会長がサッカー界へ立て直しの為に転進してから、「サッカーは単に一スポーツの範疇にとどまらない云々」という談話を出していたけども、彼が持たないと行けないのは現状の認識とそれに対する、短期的な戦略と長期的な戦略との峻別かなという気はする。まあ、これは今の日本が世界における立ち位置を考えて見据えないといけないのと同じことなんだけどもね。

それはすなわち、長期的には底辺の拡大とか育成組織を充実させて、その中で世界の先端を行く技術戦術を叩き込むという手法が必要だけども、短期的には、自国のレベルと対戦相手国の代表やクラブとの力量差を冷静に見極めた上での対策が必要だということである。この意味で、短期的な戦略を一番理解しているのが、遼寧宏運の馬監督と、北京国安かな、という気はしますけどもね。蔡振華氏にもし近づけることがあったら、自分の拙い中国語を使ってそのことを伝えてあげたいとは思うんだけども。

実は中国サッカーに対する評価では内外でネジレが起きている。それはどういうことかと言うと、多くの中国人は自国のサッカーに対して全く評価していないどころか蔑視と行っていいくらいの屈折した感情を持ちあわせている。しかし、これに対して外国人から見た中国サッカーは(これは全く外からの印象に過ぎないのだが)永遠のホープであるという評価なのである。それは結局のところ、13億の人口を擁して、優れた人材が無尽蔵に中国全土に存在しており、五輪などで他の競技で目覚しい成績を挙げたようにサッカーでも力を入れたらすごいんじゃないかという考えから来ているんだけども。

実際のところ、中国が五輪で成果を出しているのは、かつての旧共産圏が用いた手法た通用した個人競技においてが殆どであり、団体の球技で唯一金メダルを取ったのが女子のバレーボールだけだという風に言うと意外に思われるかもしれない。ましてサッカーに至っては中国国内の競技人口がわずか3万人程度に激減したという現実を目の当たりにするとどうだろう?まあ、こうやっていくら説明したところで、多くの外国人らにとっては、金子センセイと同程度の対中国サッカー観が揺らぐことはないかもしれないが・・・

余談になるけども、経済発展に対する見方も中国人と外国人との間にズレがあるわけで、中国人は国だけが豊かになってるけども民の生活はちっとも良くならないという、かつての日本でもよく議論されていた話を持ち出したりする。これは瀋陽の空港に行くタクシーの中で運ちゃんと喧々諤々と議論した話題なんだけどもね。

で、話を元に戻すと、筆者はこの相反する対中国サッカーの評価を巡る、自国民と外国人との間のネジレ現象を見るにつれて思うことがある。中国サッカーは確かに外からは課題評価されているかもしれないが、内から過小評価されるほど絶望的ではないんじゃないか、と。日本や韓国との間に実力差は確かにあるけども、その差は決して大きいものではなく、やり方によっては埋めようがあるものではないか、と。そうした差を埋める為に短期的な戦略-すなわち自分たちの弱さというか現在の立ち位置を認めた上での現実的な手法を選択するというところか。山東なんかはマリノスとやった時にはそうした戦い方をしたとは思うんだけども、まともにサッカーやることを覚えてもうたかな・・・まあ、現在では北京や遼寧などにはリーグとは違ってACLでは弱者と認識して戦うというマインドセットの切り替えが備わっていると言える。

ところで、イヴァンコヴィッチを早く日本に寄越してくれないかなw 山東では年俸50万ドルの2年契約か・・・これなら日本のクラブもしくは代表監督としてはよりよい条件で迎えられると踏んでいるんだけども(ちなみに上海申花のブラゼヴィッチはその倍貰っている)。もっとも、年俸はその程度であっても、今度は日中間の生活費の格差という問題が横たわるわけであって、中国で5千万円貰うというのは日本で置き換えると5億円貰うようなものなわけ。在日中国人の間で日中の生活費の格差は10対1とされており、それだけ日本では固定費が高いということなんだけどもね。

だから日本代表監督に呼ぶんなら、協会が住居などにおいて面倒見てあげる必要があるかな、と言う気はするけども。