リンダ リンダ リンダ リンダ!

ヘッドレスベース楽器日記→RCバイク(ハングオンレーサー)日記→BALIUS2日記→XSR900日記へ~

紐解いてみますか5

2013-03-01 20:45:00 | BALIUS2
ちょっと横道に逸れてしまう感じなのですが、前回のRC160シリーズのお話の続きって感じになります。

気筒数制限等のレギュレーションを変更を受け、1967年でWGPから撤退してしまったHONDAさん、その後はYAMAHA、SUZUKIといった2stレーサーが主流となり、4stレーサーたちはどんどん陰を潜めてゆきます。

時は移り1979年、WGP500ccクラスではYAMAHA YZR、SUZUKI RGBといった2stレーサーたちの独壇場となっていました。
レギュレーション上は4stエンジンも同様に上限500ccで出走可能ではありましたが、より手軽に高出力を得ることができる2stに分があったため、出走している車両は全て2st。

同年、WGPに復帰したHONDAが最初にサーキットに持ち込んだのが「ニュー(N)・レーシング(R)」と名付けられた「NR500(0X)」。

なんと4stV型4気筒エンジンをアルミモノコックフレームに抱え込んだ異質なレーサーだったのです。
(サイドカウルに見える部分はモノコックシャーシーの一部です)

当時のレギュレーションでは500ccは4気筒まで。HONDAお家撃フ多気筒化による出力アップは図れません。
4気筒ではショートストローク化で高回転化し高出力化を得るのにも限界があります。(単純に言うと、一回転ごとに爆発する2stに対して二回転に一回の爆発の4stは倍の回転数で回す必要がある)

そこでHONDA技術陣が作り出したモノが通称「UFOピストン」。

2本のピストンを並列でつないだ様な楕円(長円)型のピストン。コンロッドは2本。
このピストンをV型4気筒で搭載する事で、実質8気筒の32バルブと同等の性能を持つ超ショートストローク・超高回転型4stエンジンを生み出したわけです。(現在のMotoGPでは禁止されています)

2stに席巻されWGPから撤退していったHONDAの「意地」を見た様な気がしました。

もちろん市販車へのフィードバックを考えると、4st車でのレースは「レースは走る実験室!」という本田宗一郎氏のスタンスにも合致していたのでしょう。

モノコックシャーシー等、特異な作りも手伝ってか、元々部品点数が多い4st。予想外のトラブルが頻発した様です。
その後、オーソドックスなフレームに変更されたりしましたが、中々思った通りの結果は残せませず(それなりに上位成績を収めたレースもありましたが)、82年より同時開発が進められていた2stレーサー「NS500」へとその座を明け渡して行く事になります。

NR500(2X)1981年


NR500(モーターショー)1983年

83年にはカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)を多用したモデルがモーターショーで展示されましたが、実戦には投入されませんでした。

NR500の撤退により、WGP最上クラスでの4stエンジンの走行はMotoGPへの移行まで無くなります。

クオーターの歴史なのに、なぜ長々とNR500の事を書いていたかと言いますと・・・

当時噂を聞いただけで、雑誌等でも写真などが公開された事などは無いと思うのですが、NR500の開発と同時期に、楕円(長円)ピストンを搭載したV型2気筒250ccのレーサー用エンジンも開発されていたそうです。
それは250ccクラスに参戦する為のモノではありませんでした。

なんと、過給機としてターボチャージャーを搭載(1気筒に1個ずつ)した500ccクラス用のマシンです。
当時のWGPレギュレーションでは過給機の搭載が認められており、500ccクラスでは過給機付250ccが出走可能だったのです。
(古くからあるレギュレーションが忘れられて残っていたって感じですけどね(笑

実際に表舞台に立つこともなく「NR250Turbo」の開発は打ち切られ、幻のレーサーとなってしまうのですが、実現していたらとんでもない事になっていたかもしれませんね。
車両重量は500ccと比べて明らかに軽くなるでしょう。最高出力は500ccを上回っていたかもしれません。(ベンチテストで150ps以上出てたという噂も・・

剛性、ハンドリング等の問題をクリア出来れば一時代を築いていたかもしれませんね。(インタークーラー等の補機が多く重かったと言う話もありましたが・・・)

その後、HONDAさんは市販車VT250にTurboを搭載したモデルを企画しましたが、当時は認可が下りず、こちらも幻のマシンとなってしまいました。(50ps以上出たらしいが、当時の自社規制は45ps)

小排気量・高回転のバイクエンジンでどれだけ効果が有ったかは分かりませんが、HONDA CX500Turbo、YAMAHA XJ650Turbo、SUZUKI XN85、Kawasaki 750Turbo等、過給機付きの大型バイクは実現しただけに、少々残念ですね。

現在、市販のクオーターバイクは出力の上限規制、排気規制などで縛られ、今ひとつ面白みの無いものになりつつあります。
大排気量車と比べれば燃費も良く、窒素酸化物の排出量も少ない利点の多いクラスだと思います。各メーカーさんにはNR250Turboの様な斬新なアイデアで楽しめるクオーターバイクを作って頂きたい所ですね。

管理人は根っからのKawasaki好きですが、昔のHONDAさんの技術力の高さには脱帽しております。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする