自分の最期は自分で決めたいと考える動きも出てきたというが、現実にはまだまだ。ほぼ皆無である。
助かる見込みのない患者の治療の選択については、私は患者と十分に対話を繰り返す中で「患者本人の想いを最大限尊重」したいと思っている。しかしながら、「延命でなく苦痛の除去を中心とした治療を受けたい」と明確に意思を示した患者は10人に満たない。その様な場合でも家族の意向と一致せずいつも間で悩んでいるというのが現実である。
多くの患者の場合、本人の意向が分からないまま延命治療が始められ、長期間維持されることが多い。
「どこからが延命治療なのか」、私は自力で生きられない状態に至った患者に対する全ての医療行為が延命治療に相当する、と考えている。
医療の中で救命措置とされるものがある。これは迫り来る患者の死を回避するために緊急的に行われる医療のことでこれも延命治療の一つである。これらは慢性的な病気の進行による衰弱などでは適応されない。
具体的には以下を含む。
●心肺蘇生
●気道確保と人工呼吸器装着
● 点滴 人口透析療法、輸血 など
一般的に延命治療は衰弱や病気などで生命の維持が難しくなった患者に対して、回復ではなく「延命」を目的に治療することを指す。
具体的には以下を含む。
●栄養や薬品などの投与。
●酸素療法など含む呼吸のサポート、
●リハビリテーションや清潔保持など。訓練士や看護や介護で褥瘡予防や感染症予防、身体拘縮等を防ぐ。
患者本人が明確な意思表示をしていることはむしろ稀で、その場合には家族が延命治療の選択を問われることになる。
患者が元気なときに「延命治療を受けたくない」等と意思を示していても、いざその状況になると家族がためらい、延命治療が開始されることも少なくない。
多くは延命治療と延命措置とを混同している場合が多い。
患者家族が自分や家族の死について予め考えていることは稀である。