わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

懐石道具 (焼物鉢 古染付、金襴手)

2010-06-20 22:06:33 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
 前回に続き、焼物鉢について、述べます。

1) 古染付けの特徴

 ① 古染付けは、向付と同様に、日本の茶人が、中国の景徳鎮の、民窯で造らせ、輸入した物です。

 ② 注文の際、絵や図面を添付して、細かく指示しています。

   それ故、器の形などは、日本的な物が、多いです。

   織部風の手鉢の器形や、富士山を型取った形、結び文(玉章=ぎょくしょう)の形等です。

   但し、織部の手鉢は、脚が付いていますが、古染付けでは、脚が無く「ベタ」の物が、多いです。

 ③ 磁器の作品ですが、肉厚は、陶器の様に、厚く作られています。

   大きさは、形によって、違いが有りますが、器本体の高さは、5~7cm位が多いです。

 ④ 呉須(藍色の顔料)による絵付けは、中国風の図柄も多いです。

   (羅漢図、仙人図、蓮池に釣り人図などの他、蔦や唐草紋様、幾何学紋様などがありす。)

 ⑤ 虫喰い(むしくい)も、景色として、珍重されます。

    虫喰いとは、焼成時に、素地の磁器土と、釉の収縮率の違いにより、口縁部に、小さな釉禿げが

    出きる現象です。

    (一般的には、失敗作で、傷物と成ってしまう作品です。)

 ⑥ 手鉢の、把手の付け根の「ひび割れ」も、「粗び」と呼び、茶人に評価され、好まれます。

   但し、古染付けの、場合のみの話です。

2) 金襴手(古九谷、伊万里)

 ① 古九谷焼は、何処で焼かれたかに、諸説有りましたが、今では、伊万里焼との説が、有力です。

 ② 古九谷焼は、中国の祥瑞(しょんずい)を、手本とした、色絵磁器の、伊万里焼です。

 ③ 伊万里焼が、柿右衛門様式として、欧州向けの、輸出品であるのに対し、古九谷は、国内向けの、

   濃い色彩の、色絵磁器です。

 ④ 元禄年間(1688~1703年)には、茶人の間で、景徳鎮の金襴手が、注目を集める様に

   成ります。柿右衛門様式から、金襴手様式に、段々変化して行きます。

 ⑤ 伊万里焼の金襴手は、景徳鎮を、手本にしていますが、日本的な意匠を、取り入れています。

   即ち、山水画、花鳥図、風俗図などを、多用し、中国の丸写しを、脱却しています。

 ⑥ 染付けの技法に、色絵の技法を加え、更に、金泥による、模様が加えられています。

   これら、金襴手は、現在でも、茶の湯の世界では、懐石道具の、重要な位置にあり、人気も、

   はなはだ、高いです。

   
以上で、焼物鉢の、話を終わります。

次回は、懐石道具の、預け鉢について、述べます。
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