わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

懐石道具 (焼物鉢 2 備前)

2010-06-19 13:04:13 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
前回に続き、茶の湯の、懐石道具の、焼物鉢について、述べます。

 懐石料理は、普通は茶の湯の席で、お茶を頂く前に、出される物です。

 茶会の席で、空腹のまま、刺激の強い茶を、飲む事を避け、茶を美味しく味わう上で、差し支えのない

 程度の和食料理が、供されます。

 ・ 一汁三菜が、基本に成りますが、一汁三菜とは、ご飯に汁物(味噌汁)、おかず3種

   (主菜1品、副菜2品)で、構成された献立です。

 ・ おかず三品は、膾(なます、生魚を切り刻み、酢で味付けた物)、煮物、焼き物の三品が、基本です。

 ・ 焼き物とは、食材を焼いて、調理したものです。

   焼物には、魚の切り身を、主として用いますが、野菜、鳥肉等も有ります。

   その茶事の時期にあって、最も味の良い、旬(しゅん)の物を使うのが、習いとなっています。

   魚の場合は、骨を除き、大きさや形も、取り分け易く、食べや易い様に、配慮しています。

 ・ 懐石料理には、「旬の食材を使う」、「素材の持ち味を活かす」、「親切心や心配りをもって調理する」

   と言う、三つの大原則があります。


 前置きが長くなりましたが、本日の本題に入ります。

 ご存知の様に、備前焼は、無釉の焼締の、陶器です。

 釉薬を掛けない器は、窯の中で、燃料である赤松の灰が、自然に掛かり、胡麻(青、黄、カゼ)、

 さんぎり、榎肌(えのきはだ)、等の他、火襷、牡丹餅などの装飾が、施され、窯の中の窯変と、

 あいまって、味わい深い焼き物と、成っています。

 ・ 料理は、素材もさる事ながら、見た目の美しさも、大切です。

   備前焼は、主張しすぎる事なく、料理を引き立ててくれる、器です。

 ・ 備前焼の手鉢は、有名で、桃山時代の、名品も残っています。

   三日月型や、円形の鉢が多く、把手の断面は、丸又は、平らで、複雑な器形は、ありません。
 
   脚を付けず、「ベタ」が特徴です。

 1) 牡丹餅手鉢 桃山時代 径:20.7 X 24.6cm、高さ:5.9cm

   形は三日月で、深さは浅く、轆轤挽き後に、変形した様に、見えます。

   鉢の中央の縁に、やや平たい把手が、架けられています。

   器の内側に、牡丹餅(ぼたもち)が6個あり、赤味が強く出ています。

 2) 手桶型鉢 江戸時代 径:23.0 高さ:14.8cm

   轆轤で円筒形に挽き、把手を付ける部分の、2ヶ所を残し、他の縁を切り取ります。

   残した部分に把手を、差込み、形作っています。やはり、内側に牡丹餅が、付いています。

 3) 備前焼の使い方

   ① 無釉ですので、器肌が滑らかではありません。

     その為、食卓や、テーブル等に、傷が付く事があり、敷物を使用する場合も有ります。

   ② 電子レンジで温める事は、大丈夫ですが、オーブンで温めるのは、極力控えます。
 
     又、直火に掛けないで下さい。急激な温度変化は、「ひび」が入ります。

   ③ 器を水で濡らすことにより、油分や臭いの付着を防ぎます。出来れば10~15分程、

     水に漬けて置きます。

     又、色が鮮やかになり、美しく見えますので、料理を盛り付ける時に、最低でも、

     さっと水に濡らし、簡単に拭いてから、料理を盛って下さい。

    ④ 万一、器が水漏れする場合は、米ぬかに浸して1~2晩おくか、漏れの箇所に米粒を塗り

      潰してみてください。

    ⑤ 使用後(収納前)は、洗剤で洗う必要はありません。

      水洗いで、汚れをキレイに洗い流し、しっかりと乾かす事が重要です。

      良く乾燥させないと、カビや嫌な臭いの原因となります。

    ⑥ 油もの、しつこい汚れ、嫌な臭いがする時は、洗剤又は、漂白剤を使って洗います。

      これで、ほとんどの臭いや、カビを綺麗に取ることが出来ます。

    ⑦ 備前焼の器は、使い込む程に、表面の細かい角が取れ、色合いも、柔らかく成ります。

    ⑧ 尚、新品の食器を、最初に使用する時は、一度煮沸すると、器が丈夫になります。

      ・煮沸(湯煮)の仕方は、陶器を、水をたっぷり入れた、鍋の中に完全に沈めて、

       水より焚き始めます。10分間程度沸騰させます。自然に冷ましてから、取り出します。

以下次回、(焼物鉢、古染付)に、続きます。
 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 懐石道具 (焼物鉢 1 織部) | トップ | 懐石道具 (焼物鉢 古染付... »

コメントを投稿

お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)」カテゴリの最新記事