わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶器の口造り

2010-05-30 13:28:16 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
茶道具に限らず、陶磁器の口造りは、重要な要素と成ります。

口(口縁、こうえん)の造り方によって、作品の表情は、大きく変ります。

一般に、磁器(石物)は、肉厚が薄い傾向にあり、陶器(土物)は、やや厚めにします。

口の薄い陶器は、貧弱に見える事と、磁器よりも、強度が落ちる為、厚く作る必要も、有るからです。

 ・ 口の造り方は、「こしき口」と「姥口」の、2種類が基本的です。

   「こしき口」は、凸状に、出っ張っている形で、「姥口」は、凹状にへこんだ、形です。

1) 口造りの種類  以下、代表的な、口造りを述べます。
   
 ① 玉縁(たまぶち)

   壷などやや重量の有る、大きな作品に、多い造りです。

   口縁の捻り返し(ひねりかえし)に、厚みを持たせ、丸みを帯びた、紐状の形です。

   捻り返しは、外側に捻ります。作品に応じて、捻る量を調節し、太い細いを、決めます。

 ② 端反(はたぞり)

   口縁を外側に反らせた形で、水(液体)を入れる容器(花瓶、徳利、茶碗など)に、

   多く見受けられます。液体が、自然と流れ出易い、形となります。

 ③ 直口(すぐくち)又は、立口(たちくち)

   胴から垂直に、真直ぐ立ち上がった形で、竹を真横に切った様な、感じです。

   最もシンプルな、形ですので、花入などに、好まれる方も、多いです。

 ④ 姥口(うばくち)

   蓋の有る焼き物の、蓋受け部分も、この形のものが、多いです。
   
   口の周辺が、高く盛り上がり、内側は一段低くなった形です。

   歯の無い老婆の 口を、連想させる事から、この名前が付いています。

 ⑤ 鼈(すっぽん)口

   天目茶碗に、見られる口縁で、碗の立ち上がりが深く、口縁で、一度内側に絞ってあり、

   すっぽんの頭の形を、しているので、鼈口といいます。

   この形状は、熱い抹茶を飲むのに、適した形です。碗の内のせり上がりで、茶が止まり、

   啜り(すすり)に従って、少しずつ口に入る様にした形状です。

 ⑥ 蛤(はまぐり)口

   口縁の最上部が、蛤の合口の先端の様に、薄く尖ったもので、楽茶碗に見られます。

   尚、楽茶碗の口造りで、五つ程の凹凸を、五岳または五峰(ごほう)といいます。

   この口造りの、凸凹を、山道と呼び、大きな見所となります。

 ⑦ 樋口(といくち)

   口縁に箆(へら)による、細い溝の切り回しが、施された物です。伊羅保や、柿の蔕(へた)茶碗の

   一つの約束事に、成っています。

 ⑧  片口(かたくち)

   鉢などの器の一部を、外側に引き出し、注ぎ口を設けた物です。

   昔は、両口と言い、向かい合わせで、二箇所の注ぎ口が、付いた物がありました。

   尚、現在では、装飾的な要素が、多くなっています。
 
 ⑨ その他の口造り

   アンコウ口、くり口、十王口、織部口などの、名前の付いた、口造りが有りますが、

   詳細は省略します。

2) 口を上から見た場合の形

  真円形が基本の形で、小判形(楕円)、沓形、四角、三角、筆洗(ひっせん)形、桃形、州浜(すはま)、

  多福形など、多様な形が、あります。 真円から、変形させて、形作る事が多いです。  

以上で、口造りの話を、終わります。


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