わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

本焼き (二度焼き)

2008-06-02 15:40:34 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
本焼きで「溶け不足」「割れ目」「ひび」や、「釉逃げ(釉ハゲ)」等が発生した

場合、二度焼きして補修する事が出来ます。

 1) 釉薬の溶け不足

  溶け不足の原因は、焼成温度が低い、又は「ねらし焼き」の時間が短い為です

   イ) 前回と同じ温度で焼成する場合には、窯詰めの際、窯の上部に置く。

   ロ) 「ねらし焼き」の時間をやや長くする。

 2) 「割れ」、「ひび」の補修

  素焼で見つからない「ひび」や細い筋状の「ひび」も、本焼きでは確実に拡大

  します。場合に拠っては、向こう側が透けて見える場合があります。

   イ) 「割れ目」や「ひび」の溝に、糊を入れたシャモット(素焼の粉)

      を、針などで埋め込み、その上に釉薬を掛ける。

      (本焼きした粉を使う事もあります)

   ロ) 「底割れ」の様に、完全に透けて見える場合には、内外両側に施釉

     して下さい。

   ハ) 二度焼きしても、一度目の傷が完全に消える事は有りませんが、

     少なくとも、水漏れを防ぐ事は出来ます。

 3) 「釉ハゲ」(釉逃げ)の補修

   イ) 「釉ハゲ」の原因

     a) 釉薬を厚く塗り過ぎた。(釉薬の濃度が濃い)

     b) 素焼の作品を、何度も触って、手の油が釉薬を弾いた。

     c)素焼の作品に、「ほこり」や「紙ヤスリ」の粉が残っていた。

     d)下絵付けの絵の具が、濃い為釉薬を弾いた。

     e) 化粧土を表面に塗った場合、土との相性が悪く、化粧土が浮き上が
  
      り「釉ハゲ」が起きた。

     f)施釉した時、塗りむらな等で、部分的に釉薬が薄くなった。

       又 窯詰めの際、作品をぶつけて、部分的に釉薬が剥がれたが、

       そのまま焼成してしまった。

     g)その他 「釉ハゲ」の原因は色々有ります。

   ロ) 「釉ハゲ」の補修方法

     a) 一度焼成した作品に、釉薬は上手に塗れません。

      釉薬に糊(又は市販されている、二度焼き用の接着剤)を混ぜ、

      筆などで、置いて行く様に塗る。厚く塗れませんので、濃度は濃い目
      
      にします。
      
     b)この場合、筆の痕が残り、どうしても、塗りむらが出来ます。

     c)釉薬を塗った処は、絶対に触らない事。直ぐに剥がれます。

  4) その他の補修

    イ)作品を使用していると、口縁など一部欠けると、唇や手に当たり、

     違和感を感じます。ガラス質が剥がれ、土の部分が出てきたためです。

     この部分に釉薬を掛けて、ガラス質で覆うと、違和感が無くなります。

    ロ) 酸化、還元などで、望んだ色にならなかった場合、二度焼きしても

     色の変化は、変わりません。

     ・ どうしても、色を変えたい場合には、上記の方法で、再度上から釉

      薬を掛ける必要があります。たいていは上手くいきませんが・・・


      
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1 コメント

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Unknown (小野)
2023-08-04 07:51:40
はじめまして。
記事にあったので質問したいことがあります。本焼きの際に窯の調子が悪くて温度が上がりきらず、1200℃以下で焼成を終了したため、釉薬が溶けなかったので表面がざらついてしまっています。この場合そのまま施釉などはせずに本焼きに回しても大丈夫なのでしょうか?黒マットを掛けましたが食器として到底使えるものではないのですが、焼き直しを検討しています。

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