わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

有田焼の影響(京焼、瀬戸焼)

2009-12-27 20:44:10 | 世界の陶磁器の歴史
有田で焼かれた、日本最初の磁器は、有田での生産が、活発に成るにつれ、日本の各地窯場に、

大きな影響を与えます。

1) 京焼

   京都周辺には、磁器に適した土がなく、京焼は陶器しか、焼く事が出来なかったが、

   磁器とは、違った日本の色絵の世界を、作り出します。

   粟田口あたりが、京焼の始まりで、このほか、八坂焼き、清水焼等の名が文献にあります。

   これらの窯は、東山から北山にかけての、山麓にあり、御室焼だけが、洛西にありました。

   この窯の主宰者が、野々村仁清(にんせい)です。

 ・ 有田の色絵と、決定的に違うのは、仁清の色絵の意匠が、中国の様式を、全く顧みなかった事で、

   描かれているのは、大和絵、琳派風絵画、水墨画などの、きわめて和様の意匠で、

   京都ならではの、優美な色絵となっています。

   その後、仁清に学んだ、尾形乾山が、仁清の和様の色絵を、さらに展開することになります。

 ・ 京焼とは、粟田口焼、御室焼、清水焼など、京都で作られる作品の、総称です。

   上絵付けを施す技法を、用いた陶器が多く、作家ごとの、個性が強いのが特徴です。

 ① 京焼の色絵は、柿右衛門の赤絵より、30年も前に、野々宮仁青(にんせい、生没不明)によって、

   上絵付けが、なされていました。 

   但し、陶器の上絵付けで、ヨーロッパが求めていた、磁器の赤絵では、有りませんでした。

   仁清の絵付けは、それまでの、「写しもの」と呼ばれる、茶器製造から、多彩なデザインの

   「色絵もの」で、それまでの、京焼の作風を、変える程の物でした。

  ・ 天皇、皇族、貴族、僧侶などが、型紙や、図面を添えて、盛んに、仁清に注文を出しています。

 ② その影響を受けて、江戸初期から中期にかけて、東山山麓の各窯で、「古清水」と

   呼ばれる、色絵陶器が、制作されます。

 ③ やや遅れて登場したのが尾形乾山(おがた、けんざん)です。

   仁清に学んだ、尾形乾山が、仁清の和様の色絵を、さらに、展開する事になります。

   乾山は、画家、尾形光琳(こうりん)の弟で、光琳の絵付けした物に、乾山が書を寄せる

   共同作業で、数々の名作を残しました。
  
 ④ 江戸の中頃に、新しい京焼として、本格的な磁器が、焼成されます。

   奥田頴川(えいせん)(1753年~1811年)は、鳴滝に窯を開き、中国明代の磁器を手本に、

   京焼として、初めて古染付・赤絵など、色彩磁器の焼成を、完成させます。

   これを継承したのが、五条坂の諸窯です。

   木米,道八等の名工を、弟子として養成し、京焼の中に、唐物写しの、新しい傾向を

   もたらします。

 ) 頴川の教えを受け、青木木米(1767年~1833年)は、磁器の作品を、多く残します。

    主に、煎茶器を制作し、後に、青蓮院宮、粟田御所の、御用焼物師となります。

    青木木米は、仁清や乾山と並び、「京焼三名工」と、讃えられます。

 ) 仁阿弥道八(にんあみ、どうはち)(1782年~1855年)も、奥田頴川の後を受けて、

    磁器の作品を多く残します。


2) 瀬戸焼

   1804年(文化1年) 、加藤民吉は、磁器の製法を修得するために、九州へ渡ります。

   1806年(文化3年) 瀬戸に帰り、有田で得た技術を元に、 53歳で没するまで、

   染付磁器の研究を続けました。

   そして、その製法を人々に伝え、瀬戸は再び「焼き物の町」として、栄えます。

   加藤民吉(たみき、1772年 ~1824年)は、瀬戸生まれの陶工で、瀬戸焼の

   染付磁器を創成しました。 地元瀬戸では、磁祖と呼ばれていまいす。

 ・ しかし、加藤が学んだ技術は、有田から、無断で、持ち出したものです。

  (当時、有田焼の技術は、当然、門外不出であった為、伝統技術の、スパイ行為は大罪で、

  加藤は、決死の覚悟で、臨んだという事です)。

  そのため、有田は加藤のスパイ行為によって、技術を盗まれ、後の大幅な衰退を余儀なくされます。

  有田では、民吉は、極めて悪評の高い、人物となっています。

以下次回に続きます。

 京焼 瀬戸焼
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