中国の宋の時代(12世紀)に、胎陶赤絵(陶器に赤絵を施した物)が、登場します。
14世紀以降に、宋の磁州窯で、胎磁器赤絵(磁器に絵付けした物)が、焼成されます。
更に、元末~明初めに、青花紅彩へと発展し、明朝になり、華麗な彩絵磁器が、景徳鎮窯で、
盛んに生産されます。
1530年前後に、中国では、本格的な、五彩磁器の黄金期を、迎えます。
1) 赤絵とは
赤色を主調とする、上絵付けのことで、「錦窯」(にしきかま)と言う窯を使い、酸化焼成で、
700~800℃(850℃)で焼付けます。
赤絵の原料は、鉄、クロム、銅、セレニュウム、ウラニュウムなどが有ります。
一般に、鉄化合物を使いますが、高い温度(1000℃以上)では、赤く発色しません。
2) 赤絵には、単に白磁の上に、絵付けした物と、呉須(ゴス)で下絵付けし、本焼き後に、
上絵を施す、方法が有ります。
肥前鍋島藩の有田では、1645年前後に、初代柿右衛門が、長崎に滞在中の、中国人の協力を得て、
初めて、胎磁赤絵を、完成させたと、言われています。
この赤絵は、上流階級だけでなく、商人や一般庶民にも、広く使われる様になります。
3) 柿右衛門様式
・ 当時有田にある、他の窯々でも、色絵が作られており、酒井田柿右衛門に代表される、
延宝時代(1674~1681年)に確立された、色絵の磁器を総称して、柿右衛門様式と呼んでいます。
・ 柿右衛門様式の特徴は、「濁手(にごしで)」と呼ばれる、上質の乳白色磁胎です。
その上絵で、用いられる色は、明るく澄んだ色調で、赤・黄・緑、そして染付(ゴス)とは異なる、
青の4色です。ただし後期には、これら4色に、紫や金が加わる様になります。
・ 図柄は、日本画的な花鳥風月が多く、その構図は、左右非対象で、東洋的とも評される、
余白を生かしたものです。
また、それまで染付で描かれることが多かった、輪郭線は、柿右衛門様式では、
極めて繊細な、黒い線になっています。
・ 更に、鉢や皿類には、ほとんどの器の口縁に、「口銹」と言われる、銹釉が施されています。
造形的には、変形皿も、柿右衛門様式の特徴の一つに、数えられています。
・ 柿右衛門様式の特徴である、「濁(にごし)」とは、この地方で、米の研ぎ汁の事をいいます。
単なる白ではなく、透明感と、暖かみのある、乳白色の素地です。
この素地があってこそ、柿右衛門様式の余白の美が、成り立つのだといえます。
濁手の技法は、江戸後期以降姿を消し、柿右衛門様式そのものも、有田のやきものの中から、
姿を消していましたが、昭和28年に12代、13代柿右衛門によって、濁手の技法は復活されます。
有田の赤絵は、日本各地の窯(九谷焼、京焼、姫谷焼、薩摩焼など)に、大きな影響を与えます。
又、柿右衛門様式の色絵磁器は、輸出用、色絵磁器として、飛躍的に発展し、数多くの作品が、
「伊万里港」から、ヨーロッパに渡りました。
以下次回に続きます。
柿右衛門様式
14世紀以降に、宋の磁州窯で、胎磁器赤絵(磁器に絵付けした物)が、焼成されます。
更に、元末~明初めに、青花紅彩へと発展し、明朝になり、華麗な彩絵磁器が、景徳鎮窯で、
盛んに生産されます。
1530年前後に、中国では、本格的な、五彩磁器の黄金期を、迎えます。
1) 赤絵とは
赤色を主調とする、上絵付けのことで、「錦窯」(にしきかま)と言う窯を使い、酸化焼成で、
700~800℃(850℃)で焼付けます。
赤絵の原料は、鉄、クロム、銅、セレニュウム、ウラニュウムなどが有ります。
一般に、鉄化合物を使いますが、高い温度(1000℃以上)では、赤く発色しません。
2) 赤絵には、単に白磁の上に、絵付けした物と、呉須(ゴス)で下絵付けし、本焼き後に、
上絵を施す、方法が有ります。
肥前鍋島藩の有田では、1645年前後に、初代柿右衛門が、長崎に滞在中の、中国人の協力を得て、
初めて、胎磁赤絵を、完成させたと、言われています。
この赤絵は、上流階級だけでなく、商人や一般庶民にも、広く使われる様になります。
3) 柿右衛門様式
・ 当時有田にある、他の窯々でも、色絵が作られており、酒井田柿右衛門に代表される、
延宝時代(1674~1681年)に確立された、色絵の磁器を総称して、柿右衛門様式と呼んでいます。
・ 柿右衛門様式の特徴は、「濁手(にごしで)」と呼ばれる、上質の乳白色磁胎です。
その上絵で、用いられる色は、明るく澄んだ色調で、赤・黄・緑、そして染付(ゴス)とは異なる、
青の4色です。ただし後期には、これら4色に、紫や金が加わる様になります。
・ 図柄は、日本画的な花鳥風月が多く、その構図は、左右非対象で、東洋的とも評される、
余白を生かしたものです。
また、それまで染付で描かれることが多かった、輪郭線は、柿右衛門様式では、
極めて繊細な、黒い線になっています。
・ 更に、鉢や皿類には、ほとんどの器の口縁に、「口銹」と言われる、銹釉が施されています。
造形的には、変形皿も、柿右衛門様式の特徴の一つに、数えられています。
・ 柿右衛門様式の特徴である、「濁(にごし)」とは、この地方で、米の研ぎ汁の事をいいます。
単なる白ではなく、透明感と、暖かみのある、乳白色の素地です。
この素地があってこそ、柿右衛門様式の余白の美が、成り立つのだといえます。
濁手の技法は、江戸後期以降姿を消し、柿右衛門様式そのものも、有田のやきものの中から、
姿を消していましたが、昭和28年に12代、13代柿右衛門によって、濁手の技法は復活されます。
有田の赤絵は、日本各地の窯(九谷焼、京焼、姫谷焼、薩摩焼など)に、大きな影響を与えます。
又、柿右衛門様式の色絵磁器は、輸出用、色絵磁器として、飛躍的に発展し、数多くの作品が、
「伊万里港」から、ヨーロッパに渡りました。
以下次回に続きます。
柿右衛門様式