わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 316 陶芸の手順とは33(本焼きの手順13)

2017-12-05 17:15:11 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

7) 窯出しに付いて。

  窯出しは緊張と不安もありますが、どの様に焼き上がっているかの期待もある作業です。

  何度経験してもこの感覚は変わりません。

 ④ 窯出し後の処置。

  ⅰ) 数人の作り手の作品を焼く共同窯の場合、人毎に作品を集める必要があります。

   共同窯でない場合には、作品毎に集めます。その際作品の大きさ別に仕分ける方法と、釉の

   種類毎に仕分ける方法があります。出来れば釉の種類別に仕分ける事をお勧めします。

   勿論、どの釉を使って焼き上げた作品であるかが、判っていなければ成りません。

   前に述べましたが、同じ釉であってもその表情は大きな差が出る事が多いです。特に還元焼成

   の場合が多いです。 薪窯となると一層変化が大きくなります。 

 以上までが前回の話です。

 ⅱ) 良く焼けた作品は、特に良く観察する事。

   窯のどの位置に窯詰めしたか、作品の周囲にはどの様な作品が置かれていたかも確認します。

   焼成の最高温度は勿論、焼成過程や冷却時間、施釉の種類等を記載すると同時に、それらの

   どの要因によって良い作品に焼き上がったを検討する事も大切です。但し、これらの要因を

   分析しても、次回も同じ様に良い作品に焼き上がる事が保障されないのが、窯焚きの難しさで

   す。特に窯変と呼ばれる現象は稀に起こり、その要因が不明な事で更に珍重される事に成り

   ます。

  ⅲ) 棚板に流れ落ちた釉がある作品の処置。

   窯の最高温度や焼成時間が長過ぎた時、更に流れ易い結晶釉を使った場合に起こり易い現象で

   す。この場合作品が棚板に完全に熔着し、作品を綺麗な状態で棚板から剥がす事はかなり難し

   くなります。

  イ) 棚板の裏側から木槌などで強く叩き衝撃を与えて剥がします。

   棚板上には白色のアルミナコーチングが塗られています。裏側から衝撃を与える事で作品を

   コーチングと共に剥ぎ取る事が出来ます。勿論熔着した面積とも関係しますが、かなりの衝撃

   が必要になります。頑固に熔着している時には、数回叩く必要があります。

  ロ) 熔着面積が部分的で少しであっても、無理やり剥がさない事です。

    熔着が小さな程、無理やり剥がすと作品の熔着部分から作品が割れ易くなりす。

    作品を割らない為には、鏨(たがね)で熔着部分の周囲を丁寧に叩きコーチング部分ごと

    棚板から剥がします。

  ハ) 作品に付いたコーチングはダイヤモンドやすり等で丁寧に取り除きます。

    コーチング剤は硬くて強固ですので、容易に取り除く事が出来ませんが、気長な作業になり

    ます。グライイダーがあれば作業も捗り(はかどり)ます。

  ニ) 作品を取り除いた棚板の部分は新たに、コーチングを塗り補修します。

    何度も補修を繰り返すと、棚板の表面が凸凹になりますので、紙(布)ヤスリ等で平坦に

    します。尚、補修をしなかった棚板も数回の本焼き後に、棚板全体にコーチングを塗り棚板

    を保護します。

  ⅳ) 蓋物の作品の処置。

   一般に蓋物は蓋をした状態で本焼きします。これは作品が歪み蓋が出来なくなるのを防ぐ為で

   例え本体が歪んでも、少なくとも蓋をした状態で焼成した場所では、蓋と器が一体に納まる事

   が可能になる為です。蓋物で問題に成るのが、蓋が本体に焼き付き取れなくなる事です。

   原因は釉同士が熔着する為です。その他。赤土などの鉄分を多く含む素地を使う場合、高い

   温度で焼成すると、素地同士が熔着する場合もあります。その対策として、

  イ) 施釉後に蓋と蓋受け部の釉を落とすと共に、両方をスポンジや布を水で濡らし、拭き取り

   ますが、これだけでは不十分です。

  ロ) 一番有効な方法は、両方が接する部分に、水に溶かした水酸化アルミナ等を筆などで塗る

   事です。アルミナは高温でも熔けませんので、両方が熔着し難くなります。

  ハ) 流れ易い釉を使う場合には、施釉しない部分を通常より若干多くする事です。

   高温で釉が流れ出し、蓋と蓋受けとの間に流れ込まない様にします。

  ニ) 上記対策を施しても、熔着する事はしばしば起こります。その場合、蓋の摘みを持って

   揺するとカタカタと音がすれば、熔着部分は少ないですので、隙間があれば竹ヘラ等でこじ開

   ける事も可能ですが、強引に剥がすのは禁物です。数箇所が熔着している場合には、木槌など

   で外部より衝撃を与え、熔着部分を剥がす方法も有効です。

   全面に熔着した場合、剥がすのはほぼ不可能です。多くの場合本体共廃棄処分にするか、

   蓋のみを助けるかです。但し蓋だけを助けるとしても、本体には大きな傷が残ります。

   尚、アルミナコーチングや水酸化アルミナ等は陶芸材料店で入手できます。

8) 使用前に行う事。

以下次回に続きます。
   
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 素朴な疑問 315 陶芸の手順... | トップ | 素朴な疑問 317 陶芸の手順... »

コメントを投稿

素朴な疑問」カテゴリの最新記事