わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 310 陶芸の手順とは27(本焼きの手順7)

2017-10-17 17:28:15 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

5) 窯の温度を上げる。 

  電気窯の場合には、電力(電流量)をあげるに従い、温度は上昇しますが、ガスや灯油の場合には

  一概に燃料を増量すれば、温度が上がる訳ではありません。空気量との関係で、むしろ温度が

  低下する事も稀では有りません。

 ① 窯焚きでの一番の失敗は、所定温度まで上がらない事です。

 ② 窯焚きに掛かる時間は、窯の容量及び窯の壁の厚み、作品の量(窯詰量)と種類(大きさ)、

  釉の種類に左右されます。

 ③ 素焼きと本焼きでは、温度上昇スピードが異なります。

 ④ 点火直後は窯も冷えていますので、温度は急上昇します。(本焼きの場合です。)

  窯の容積(大きさ)にもよりますが、個人で使う窯程度では、最初の1時間で250~300℃程度

  まで上昇する事は稀ではありません。急上昇させてもさほど問題になる事はありません。

  ⅰ) 200℃を超える当たりから水蒸気が発生します。(以上が前回までの話です。)

  ⅱ) 蒸気の発生が無くなったら扉を閉じる。

   水蒸気は最初湯気が出る程度です。冬場であれば目に見えますが、夏場ではほとんど見えませ

   ん。次第に蒸気量も増えるに従い、目に見えて蒸気抜き穴や扉の隙間より、勢い良く噴出して

   きます。特に、施釉直後に窯焚きを行うと顕著ですが、数日後に行うと水蒸気の量は激減しま

   す。場合によっては、ほとんど蒸気を認められない事もあります。500℃程度に成れば蒸気は

   無くなりますので(実際にはその後も水蒸気は出続けます)、扉や蒸気抜き穴を閉じます。

   この間燃料を増やしたり、電流を増やして、温度を急激に上げてもほとんど問題ありません。

   尚、窯が室内にある場合は、水蒸気で視界が遮られますので、換気扇を回して外に逃がします。

  ⑤ 燃料を使用する窯では、温度が上昇し易い窯の雰囲気は、中性炎又は弱酸化炎(又は弱還元

   炎)と言われています。

   ⅰ) 還元焼成は950℃前後から操作します。(この温度は窯を焚く人によって異なります)

    ドラフトやダンパー、バーナーの空気取り入れ等を操作し、煙突の引きと供給燃料のバランス

    を取る事により、還元の強弱が決ります。

   ⅱ) 還元焼成か酸化焼成の判断は、炎の色と色見穴からの空気の流れから判ります。

    即ち、バーナーがら出た炎が綺麗な青色であれば酸化炎になります。赤味が指すに従い還元炎

    となります。又酸化焼成の場合には、色見穴へ空気が引き込まれ、還元焼成の場合には、

    炎が外に出てきます。出入りの量は還元又は酸化の度合いによって決まります。どちらでも

    ない状態では中性炎と見て良いでしょう。

   ⅲ) 強酸性や強還元炎の場合には、温度上昇が極端に悪くなります。

    温度を上げようとして、燃料を増やしても温度が上がらず、逆に下がる場合もあります。

    これは、空気の量が少な過ぎたり、燃料の供給が多過ぎる場合(強還元)に起こり易いです

    ので、温度の上昇具合を見ながら、燃料と空気量を調整する必要があります。

   ⅳ) 窯の状態を見る時間間隔に付いて。

    窯の前に常時くっ付いて、状態を観察するのがベストですが、窯の状態によってある程度

    の間隔で窯の様子を観察するだけで大丈夫の事もあります。一般には30分程度に一回見れ

    ば良く、温度上昇具合を観察しますが、山場に差し掛かった時には、刻々状態が変化します

    ので、張り付いていなければ成りません。具体的な山場とは、点火時から炎が安定するまで

    の間、蒸気の発生が無くなり扉などを閉める必要がある場合、温度上昇が鈍く成ってきた

    状態、還元焼成を掛ける際、燃料を更に供給する際、最高温度に近づいている状態の時など

    です。その他、窯の中ので異常音がした時もしばらく付きっ切りで、様子を見る必要があり

    ます。

   ⅴ) 温度の上昇スピードは徐々に落ちていきます。


 以下次回に続きます。

  
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 素朴な疑問 309 陶芸の手順... | トップ | 素朴な疑問 311 陶芸の手順... »

コメントを投稿

素朴な疑問」カテゴリの最新記事