わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の熔融(剤)について 2

2008-12-24 19:42:13 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
前回の続きを述べます。

 ④ リチウムについて

  ・ リチウムは、釉の光沢や、機械的強度を増し、風化に対しても、強い物質です。

  ・ 更に、熔融剤としても強いので、珪酸、アルミナ、石灰を多量に使う釉に対して、有効です。

  ・ 酸化リチウム(Li2O)を、0.5 % 入れると釉の流動性を増し、光沢が出ると伴に、

    ピンホールの予防にも成ります。

  ・ 又、釉を安定化させ、銅の色釉では、美しい青色が出ます。

  ・ 釉の原料として、ペタライト(Li2O・Al2O3・8SiO2)や、炭酸リチウムが有ります。

  ・ クロム緑やピンク釉に、亜鉛華(ZnO)は使えず(発色を阻害)、貫入が出や易いですが、

    リチウムを入れる事によって、貫入を予防出来ます。

 ⑤ 石灰について

   石灰は、殆どの釉に使われています。それは、

  ・ 硬度を増し、磨耗に強く、耐水性に優れ、更に風化に対しても強いからです。

  ・ 又 他の熔融剤と比較すると、引っ張り強度を増し、熱膨張(収縮)率を著しく、低くします。

  ・ 石灰の量が、ある範囲以上に成ると、耐火度が増し、冷却時、灰長石と言う結晶が

    細かく分離し、マット釉に成ります。

    マット釉を作る際、この石灰を多く入れる方法が、一般的です。

    但し、過剰に入れると、結晶が気泡化を起こします。その際には、珪酸を少量入れると、

    気泡を抑える事が出来ます。

  ・ 石灰石は比重が軽く、釉薬中で他の原料を浮かせる、役目もします。

 ⑥ マグネシア(MgO)について

  ・ マグネシアは、高温で強力な熔融剤に成り、流動性を増大させ、他の熔融剤より、

    膨張係数を低下させます。貫入防止剤にも成ります。

  ・ 低温では、逆に難熔性で、1100 ℃以下では、0.2 ~ 0.4 モル程度で半艶消し~艶消し釉

   (マット)に成ります。

  ・ 釉の原料としては、マグサイト(MgCO3)、安価なドロマイト(MgCO3・CaCO3)、滑石(タルク)

    を使います。

  ・ マグネシア釉の、表面張力の大きさを利用した、装飾方法として、以下の方法が有ります。

    素焼素地に、光沢色釉を全面塗り、その上から、マグネシア釉をスプレー掛けし、焼成すると、

    下掛け釉が、熔けて流れ、マグネシア釉が熔ける際、下の釉に引っ張られ、色々の場所に、

    貫入の様な筋が出来ます。

 ⑦ 酸化バリウムについて

   他の成分との化学反応が弱く、更に耐火度が高い(熔け難い)為、あまり利用されませんが、

   熔け難い事から、逆に艶消し(マット)釉として利用できます。


以下次回に続きます。
    
コメント
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