わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬の調合 (三角座標)

2008-12-12 22:28:21 | 釉薬の調合と釉を掛ける
釉薬の調合方法を、述べたいと思います。

 調合は、各原料の合計が、基本的には100%に成るようにします。

 ここで注意すべき点は、その割合が、容積比なのか、重量比で表された物か、と言う事です。

 ・ 容積比と、重量比では、当然その内容が違います。

 ・ 古い時代では、計量に、枡(マス)を利用していましたので、容積比で記録されていました。

 ・ 現在では、重量を測る秤(最小5~10mmg程度まで測れる)が普及していますので、

   重量比で表記された物が多い様です。

本や参考書を利用する場合、この点を確認してから、仕事を始めて下さい。


 1) 三角座標による調合方法

 2) ジェーゲル式による調合方法

 上記二点の方法をお話いたします。

  ・ 色々の割合で調合した物は、各々テストピースに塗り、望みの温度で試し焼きします。

    その際、ゴスや鬼板などで、下絵を書き、裏側にデータを記入し、釉の溶け具合や、

    絵の発色具合を見て、良いデータの物を選び、候補を絞り込み、更に細かく調合し、

    選別する事を、繰り返すます。

  ・ 自分で、一つの釉薬を作り出すまでには、かなりの手間隙が、必要です。

1) 三角座標による調合方法

  例として、色釉を作る際の、基礎釉の調合について述べます。

  ① 原材料は、長石、珪石(又は陶石)、石灰(又は土灰)を使います。

    各材料は、乳鉢などを使い、粉末状にしておきます。 

  ② 正三角形を描き、各頂点を長石、珪石、石灰の基準点とし、各辺を10等分した線を描きます。

  ③ 各線に1~9の番号を振ります。(1~9の番号が、各々3組有ります)

  ④ この三本の交わる点が、各材料の割合(重量比)と成ります。

  ⑤ 幾つかの例を述べます。

   a) 長石 70  SK-8(1250℃)で、溶け具合良好、

     珪石 20  透明、 ゴス、鉄絵が良好

     石灰 10

   b) 長石 60  溶け具合良好

     珪石 30  乳白色

     石灰 10

  ⑥ 溶融温度を、低くしたい場合

   a) 石灰や土灰など(塩基成分)を多くする。

   b) 亜鉛華(ZnO)を入れると、低くなります。

 イ) 次に、調合の仕方を説明します。
  
  ① 乾燥して粉末化した材料を、秤で測り、決められた割合で、乳鉢に入れる。

  ② 乳棒で百回以上掻き回し、良く混ぜます。

  ③ 次に、水を加えます。水は少しずつ加え、一度に入れない事です。

  ④ 更に乳棒で撹拌します。水の量が多過ぎると、やり難くなります。

    全体に水が行き渡り、乳棒がスムーズに回転できるまで、動かします。

 ロ) 施釉の仕方(テストピースへ)

  ① 試し塗り: 素焼の破片に塗り(浸し、筆、流し掛けなど)、接着具合を見ます。

  ② 塗った際、釉に「ひび」が入ったり、めくれ現象が起きるのは、良くありません。

  ③ 釉掛けの厚みにより、泡や「あぶく」の出る物も、悪いです。

  ④ 厚く掛けたい場合には、薄めの釉薬を、数度塗り重ねて下さい。

    又水分が少ないと、「割れ」や「ひび」が発生します。

  ⑤ 釉薬を掛ける方法は、他に、スプレー、スポイト掛け、刷毛塗りなどが有ります。

後は焼成し、結果を見ます。一度や二度では、上手くいきません。

又窯によって、溶け具合や、透明度などに差が出ます。

 それ故、他人のデータは、そのまま使える事は、少ないです、参考程度にする事です。
  
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