釉が素地に融着するのは、熔けた釉が、素地の隙間に入り込み、化学結合物を作り、
冷えて楔状に固着するからです。
又熔け方も、ある温度に成ったら、各成分が一斉に熔けるのでは無く、熔け易い物質から
順次ガラス化していきます。
物質は、どんな物でも、高温に成れば、必ず熔けます。
・ その中で、特に熔融剤は、釉薬を熔かし易くする、材料です。
では各物質の熔けた場合を見ていきます。
① 珪酸(シリカ)は、熔融剤とは呼ばれませんが、釉の主成分の一つです。
・ 珪酸が多過ぎると、熔けなで、釉の中に残り、透光性が減り、マット状に成ります。
その為、表面が「あばた」に成り、釉飛の原因に成ります。
・ 逆に、少な過ぎると、素地との結合が弱く、素地に吸収されたり、素地から
流れ落ちたりします。更に釉が「煮える」状態で、気泡が発生し易いです。
② アルミナ(Al2O3)も釉の主成分です。
この物質も、珪酸同様、熔融温度を、上げる作用が有ります。
・ 量の大小や、温度変化によっても、物理的な性質は、大きく変化しません。
即ち、釉に硬さを与え、風化や化学的侵食を少なくします。
・ 釉に透明性を与え、失透や、結晶生成を防止する作用が有ります。
・ アルミナは、釉の粘度を増し、流動性を調節し、素地に安定的に融着します。
・ アルミナが多過ぎると、粘度は急激に増し、気泡が発生が発生します。(0.4 モルを超えない事)
・ アルミナの原料は、長石からも採れますが、カオリンから採ると、素地に良く付着します。
これから熔融剤について述べます。
ジェーゲル(ゼーゲル)式で、R O に相当する物質を熔融剤と呼びます。
特にアルカリ (これから述べる物質)は、強力な熔融剤で、釉の流動性や、光沢を増し、
色釉の発色を促進させる、重要な原料です。
・ 熔融剤は、2種類(出来れば3種類)の原料を使って下さい。その効果が著しく成ります。
③ カリ、ソーダについて
・ カリ(K2O)は、長石釉では一般的に、使われます。又ソーダ(Na2O)と置換され、
より、熔け易く成りますが、光沢はやや落ちます。
・ カリやソーダを増すと、光沢は増しますが、風化に対する耐久性は劣ります。
・ 石灰をソーダと置換すると、R O のモル数が多い場合、貫入が増える傾向になります。
ソーダは珪酸塩ガラスの中で、膨張(収縮)係数が最大ですので、貫入が発生します。
・ 尚、純粋なカり長石や、ソーダ長石は産出しません。お互い少しづつ混ざりあっています。
・ 次に、ソーダとカリの熔融剤による、金属の発色の違いを表にしました。
熔融剤 ソーダとカリによる、金属の色変化
ソーダ カリ 還元 酸化
コバルト 青 青 青藍(桃紅色) 青藍
銅 空青 トルコブルー 赤、紫褐 緑、青緑、暗緑
クローム 草緑 黄緑 青緑 帯黄緑、青緑
マンガン 暗黄 紫 褐、黒褐 黄褐色、黒褐
ニッケル 褐 褐 灰色 緑色
鉄 帯褐黄色 褐 青緑、褐黒 黄赤褐、黒
チタニウム 黄 黄 暗褐、茶褐 橙黄、 茶褐
以下次回に続きます。
陶芸釉薬の熔融剤
冷えて楔状に固着するからです。
又熔け方も、ある温度に成ったら、各成分が一斉に熔けるのでは無く、熔け易い物質から
順次ガラス化していきます。
物質は、どんな物でも、高温に成れば、必ず熔けます。
・ その中で、特に熔融剤は、釉薬を熔かし易くする、材料です。
では各物質の熔けた場合を見ていきます。
① 珪酸(シリカ)は、熔融剤とは呼ばれませんが、釉の主成分の一つです。
・ 珪酸が多過ぎると、熔けなで、釉の中に残り、透光性が減り、マット状に成ります。
その為、表面が「あばた」に成り、釉飛の原因に成ります。
・ 逆に、少な過ぎると、素地との結合が弱く、素地に吸収されたり、素地から
流れ落ちたりします。更に釉が「煮える」状態で、気泡が発生し易いです。
② アルミナ(Al2O3)も釉の主成分です。
この物質も、珪酸同様、熔融温度を、上げる作用が有ります。
・ 量の大小や、温度変化によっても、物理的な性質は、大きく変化しません。
即ち、釉に硬さを与え、風化や化学的侵食を少なくします。
・ 釉に透明性を与え、失透や、結晶生成を防止する作用が有ります。
・ アルミナは、釉の粘度を増し、流動性を調節し、素地に安定的に融着します。
・ アルミナが多過ぎると、粘度は急激に増し、気泡が発生が発生します。(0.4 モルを超えない事)
・ アルミナの原料は、長石からも採れますが、カオリンから採ると、素地に良く付着します。
これから熔融剤について述べます。
ジェーゲル(ゼーゲル)式で、R O に相当する物質を熔融剤と呼びます。
特にアルカリ (これから述べる物質)は、強力な熔融剤で、釉の流動性や、光沢を増し、
色釉の発色を促進させる、重要な原料です。
・ 熔融剤は、2種類(出来れば3種類)の原料を使って下さい。その効果が著しく成ります。
③ カリ、ソーダについて
・ カリ(K2O)は、長石釉では一般的に、使われます。又ソーダ(Na2O)と置換され、
より、熔け易く成りますが、光沢はやや落ちます。
・ カリやソーダを増すと、光沢は増しますが、風化に対する耐久性は劣ります。
・ 石灰をソーダと置換すると、R O のモル数が多い場合、貫入が増える傾向になります。
ソーダは珪酸塩ガラスの中で、膨張(収縮)係数が最大ですので、貫入が発生します。
・ 尚、純粋なカり長石や、ソーダ長石は産出しません。お互い少しづつ混ざりあっています。
・ 次に、ソーダとカリの熔融剤による、金属の発色の違いを表にしました。
熔融剤 ソーダとカリによる、金属の色変化
ソーダ カリ 還元 酸化
コバルト 青 青 青藍(桃紅色) 青藍
銅 空青 トルコブルー 赤、紫褐 緑、青緑、暗緑
クローム 草緑 黄緑 青緑 帯黄緑、青緑
マンガン 暗黄 紫 褐、黒褐 黄褐色、黒褐
ニッケル 褐 褐 灰色 緑色
鉄 帯褐黄色 褐 青緑、褐黒 黄赤褐、黒
チタニウム 黄 黄 暗褐、茶褐 橙黄、 茶褐
以下次回に続きます。
陶芸釉薬の熔融剤