わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬と素地との関係

2008-12-05 21:36:43 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
 釉薬が、窯の中で高温になると、ガラス化するのは、勿論ですが、素地も高温に成ると、

 ガラス質が多量に生成され、釉のガラスと一体になり、複雑な様相になります。

 高温で焼成すると、素地と釉の接触面では、化学反応を起こし、素地に密着し、素地の表面に

 食い込みます。その接着面に、気泡や、結晶が出来たりします。又長時間焼成すると、

  釉が流れたりします。

 その状態は、素地(粘土)の種類、釉薬の種類、釉の厚さ、焼成温度、焼成時間、及び冷却時間など

 に左右されます。


 本日の本題に入ります。

 素地と釉薬との関係で、重要な事の一つに、収縮率の問題があります。

 ・ 高温に成ると、素地は膨張し、釉薬は溶融し、素地の表面を覆います。

 ・ 火や電気を止め、冷却に入ると、素地、釉薬共、縮んで来ます。

 この縮(収縮率)が、

 ① 素地と釉薬が同じならば、釉の剥がれや、貫入(ひび)が発生しません。

 ② 素地より、釉薬が多く縮む場合、釉にひび(貫入)が入ります。

 ③ 釉薬より、素地が多く縮む場合、釉は素地より、「めくれ」たり、最悪、釉が剥がれ、

   落ちてしまいます。

  現在の状況は解かりませんが、備前の土は収縮率が20%(市販の一般的な土は12~13%)

  程度と、大きく、釉を掛けて焼くと、釉薬が剥がれてしまい、釉薬が掛けられないと言うのが、

  本当の所です。

  但し、備前焼は、収縮率が大きいので、素地が硬く締まり、水を漏らしません。
  
  ( 蛇足ですが、備前焼は、長時間薪で焼くため、その灰が作品に掛かり、土の色と相まって、

    独特の模様(色相)を作り出しています。又、釉を掛けない事により、作品の重ね焼きや、

    寝かせ(横倒し)て焼く事が出来、意図的な模様が出せる利点が有ります。)

 ④ 釉薬の縮みを、積極的に取り入れた釉薬が、亀裂釉で、薩摩焼、相馬焼などがあります。

 ⑤ 反対に亀裂や「ひび」を防止するには、酸化錫や、微粉珪酸などを加えます。

 尚、詳細に付いては、後日釉薬の各論で、述べる予定です。

 
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