わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬の原料 (草木灰2)

2008-12-10 22:30:13 | 釉薬の調合と釉を掛ける
前回の続きを述べます。

1) 土灰について

  前回 お話した様に、土灰とは、色々な木や草などを、焼いた残りの灰です。

  それ故、自然の土灰は、組成的には、種々の灰から成り、その成分(作用)も千差万別です。

 ① 土灰は、他の木灰よりも、マグネシウムや、鉄分を多く含みます。

 ② それ故、飴釉、黒天目釉や他の天目釉など、黒い釉薬を作る際、土灰が使用されます。

   但し、土灰だけでは、鉄分が不足する場合、酸化鉄や弁柄、鬼板、来待石や、

    鉄分を多く含む粘土(赤土)を混ぜます。

 ③ マグネシウムの成分は、含有量によって、飴~漆の黒まで変化します。

   色調も、結晶釉や、マット釉にもなります。

 尚 黒さを増す原材料には、マンガンが有効で、松や樫(かし)の灰に、多く含まれます。

2) 藁灰について

 ① 藁など(籾殻、糠)の灰は、珪酸成分を多量に含み、乳濁釉を作る際に、使われます。

 ② 藁などを燃やした灰は、30%前後の炭素分が残ります。実際に調合する時は、その分、

   差し引いて(灰の量を多くして)、調合します。

 ③ 備前焼の火襷は、藁を灰としてで無く、藁そのものを、作品に巻きつけ、緋色を出します。

   これは、備前の土と、藁の珪酸が化学変化し、緋色が出ると言われています。

3) いす灰について

 ① 鉄分の少ない灰で、有田焼きなどの、白い磁器釉を作る際に、使用されます。

 ② 日向産(宮崎県)が有名です。

4) 灰の成分について

  前に述べたように、自然の灰は、同じ物はありません。

   (安定的に使う場合は、合成の灰を使うと良い)

  この灰を、自分なりに調合して、釉薬を作れば、変化に富んだ色が出せます。

 尚 灰には、鉄分、カルシュウム(Ca)、マグネシュウム(Mg)、カリュウム(K)、

   ナトリュウム(Na)、マンガン(Mn)、リン(P)などが含まれ、その割合も、木の種類などに

   よって、又その他の違い(産地、季節、部位など)によって、大きく変わります。

 
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