わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬の調合 (SK-8の釉薬を作る1)

2008-12-20 21:45:17 | 釉薬の調合と釉を掛ける
、ジェーゲル(ゼーゲル)式を基にした、釉薬の例として、Sk-8(1250℃)の釉薬を調合します。

 釉薬としては、ジェーゲルコーンのSK-8よりも、5番少ない番号Sk-3a(1140℃)を使う様にと、

 前回まで述べて来ました。

 ・ 但し、ジェーゲルコーンは、1時間当たり100℃の割合で、温度上昇させ、その温度で、

   コーンが軟らかく成り、頭が床に着くと言う事を意味しています。

 ・ 即ち、Sk-8(1250℃)は12時間30分の焼成の結果です。

 上昇温度は、窯の大きさ、作品の量、燃料の違い、粘土の違い、その他の条件によって、

 窯毎に違います。

 現在の市販されている窯は、もっと短時間で、焼成する窯が一般的です。

  それ故、更に溶けやすくする為に、もう1番下の番号を、選んだ方が無難です。

 ・ 結論として、Sk-8で溶ける釉薬は、Sk-2a(1120℃)のジェーゲル式を使う事です。

1) では実際の調合例を述べます。

 ① SK-2a のジェーゲル式は、(前々回述べましたが、)以下の様になります。

   MgO=0.096   CaO=0.599  Na2O=0.085   K2O=0.220   B2O3=0.170
 
    Al2O3=0.652   SiO2=5.687   

    ・ 1R O の成分は簡単にするため、CaO = 0.6  K2O、Na2O = 0.4 とします。

    ・ 即ち 1R O ・ 0.652 Al2O3 ・ 5.687 SiO2 と成ります。 (単位はモル)

       (石灰系の釉薬に成ります)

   (注: R O に相当する成分は各種有りますが、溶媒(=溶け易くする物質)と言います。

    溶媒としての働きは、同じ様ですが、色釉の着色金属との反応や、酸化、還元焼成では、

    各々独自の作用が有ります。 詳細は、後日説明致します。)
    

  ② 釉薬の原料として、福島長石(カリ=正長石)、福島珪石、朝鮮カオリン、石灰石を

    使い、釉を調合します。

   ・ 上記物質の、100g当たりの、化学分析値、及びモル数を記します。

       Al2O3   SiO2   FeO3   CaO   MgO   K2O   Na2O

 長石    18.57  66.74   0.18   0.24    ー   10.42   3.48

  モル数  0.182  1.111                  0.111   0.056 

 珪石     0.56  98.62   0.03   0.39   ー    0.05   0.28

  モル数       1.643

 カオリン  37.27  45.82   0.58   0.60   0.25  0.54   0.46

  モル数  0.366  0.764

 石灰石   0.20   0.40   0.02   55.05  0.04   0.05   0.20

  モル数                   0.983

                (前回紹介した「入門やきものの科学」より)

 以下 次回に続きます。

 陶芸釉薬の調合 
 
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